CSR の社内浸透5つのステップ(1/7)

ニック木村の「今さら聞けないサステナビリティ」(8)

「SDGs」「ESG」「CSR」。サステナビリティを取り巻く状況は日々変化し、新たな用語も増えた。そもそもサステナビリティ領域は、どこから理解すれば良いのだろうか。カシオ計算機で約12年間サステナビリティの管理職を務めた「ニック木村」こと木村則昭・オルタナ総研フェローが「今さら聞けないサステナビリティ」の疑問にお答えする。

CSRの社内浸透、ポイントは「自分事化」ーーニック木村の「今さら聞けないサステナビリビリティ」(7)はこちらから

【Q8】「CSRの社内浸透」を実践するために具体的な推進方法を教えてください。

CSRの浸透には段階を踏むことが必要だ

【A8-1】「CSRの社内浸透」を図るために、下記の5つのステップを踏むことを推奨します。           

ステップ1: トップダウン・アプローチ
ステップ2: 何を拠り所として進めるのか
ステップ3: サステナビリティ目標とKPIの設定
ステップ4: ボトムアップ・アプローチ
ステップ5: 情報公開とコミュニケーション

掲載スペースの関係で【A8】は上記ステップ1~5を7回に分けて掲載します。
今回は「ステップ1:トップダウン・アプローチ」について紹介します。

ステップ1:トップダウン・アプローチ

①トップ(経営者)のコミットメントが不可欠

企業が本業で社会課題解決に貢献する(=SDGsに取り組む=CSR に取り組む)ためには、トップ(経営者)のコミットメントが絶対に必要です。会社はトップが思い描く方向に変わります。

トップが「利益を出すことが何よりも大事」と考えれば、会社はそういう方向に向かいますし、「全ての社員が幸福であることが最も大事」と考えれば、そういう会社になります。トップは「SDGsに本業で取り組む、そしてSDGsをテコに会社を大きく変える」という強いメッセージを全社員に、そして社外に対しても信念を持って発信し続けることが重要です。

サステナビリティ目標の「自分事化」

人は評価されない仕事はやりたがらないものです。どんなにSDGsに貢献するいい仕事をしてもそれが自分の実績として評価されず、人事考課にも結び付かなければ、誰も本気で取り組もうとは思いません。

ましてや、トップがSDGsにコミットしているというのに、業績評価にSDGsへの貢献が反映されないというのでは、自己矛盾と言わざるをえません。従って、企業としてSDGsに取り組むためには、社員がSDGsを自分事として取り組むことができるよう、以下のような仕掛けや仕組みの構築が必須ということになります。

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kimuranoriaki

木村 則昭(オルタナ総研フェロー)

1982年上智大学外国語学部英語学科卒業後、2021年5月まで39年間カシオ計算機株式会社に勤務。初めの約27年間はシステム商品の海外営業を担当。その間オーストラリアに約2年、米国に約4年の駐在を経験。その後の約12年間はCSR推進室(後にサステナビリティ推進室)室長としてコンプライアンス及びCSR(サステナビリティ)のグループ内への浸透を推進。グローバルコンパクトの原則に基づき、ISO26000をガイダンスとして、特に「人権」を重点課題として取り組みを進めた。また、2015年にCSRリーダー組織を立ち上げボトムアップによるCSRのグループ内浸透を図った。 2018年度よりオルタナが主催するサステナビリティ(SUS)部員塾の講座「CSR検定3級試験過去問演習と解説」の講師を担当。特定非営利活動法人環境経営学会理事。

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キーワード: #CSR#ESG経営#SDGs

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