CSRの社内浸透、ポイントは「自分事化」

ニック木村の「今さら聞けないサステナビリティ」(7)

「SDGs」「ESG」「CSR」。サステナビリティを取り巻く状況は日々変化し、新たな用語も増えた。そもそもサステナビリティ領域は、どこから理解すれば良いのだろうか。カシオ計算機で約12年間サステナビリティの管理職を務めた「ニック木村」こと木村則昭・オルタナ総研フェローが「今さら聞けないサステナビリティ」の疑問にお答えする。

企業がCSRに取り組む真の意味とはーーニック木村の「今さら聞けないサステナビリビリティ」(6)はこちらから

【Q7】「CSRの社内浸透」って、どういうことですか。具体的に何をどうすればいいのでしょうか。

まずは「自分事」としてとらえるCSR リテラシーが必要だ

【A7】最初に筆者の考える「CSRの社内浸透」の定義を掲げておきます。

「CSRの社内浸透とは、CSRという共通言語で会話できる社員を増やすこと」

繰り返しますが、これはあくまで筆者の考える定義であって一般的に認知されている定義はありません。しかし、「中らずと雖も遠からず」であろうと自負しております。

ですので、CSRの社内浸透とは、全社員のCSR リテラシーの向上を図ること、と言い換えることもできます。

企業としてCSR に本業で取り組もうという時、企業にとってCSR が「自分事化 」されていなければなりません。「誰かがやるべきこと」ではなく、「自ら主体となってやるべきこと」になっていなければならない、ということです。しかもそれは、事業に余裕のある時についでに取り組むのではなく、事業そのものとして取り組まなければなりません。 

同じことが企業で働く社員にも言えて、社員にとってCSR はCSR 担当部門が行うことではなく、自分の業務として行うべきこと、つまりCSR が「自分事化」されなければなりません。

どの企業でも、会社が「今期は売上〇〇〇円、営業利益△△△円、必達!」とぶち上げれば、全社員がその目標達成に向けて目の色を変えます。

例えば製造業であれば、調達・開発・製造・物流・企画・営業・宣伝・保守サービスなどの各部門が、目標達成のために押さえるべきポイントを熟知していて、いつまでに何をどうすべきかを事業計画として描いて、それを全社員に徹底させるよう図ります。

つまり、全社員の目線のベクトルを同じ方向(目標達成)に向かせるわけです。これこそが社内浸透の意味です。

■CSR の社内浸透で押さえるべきポイントとは

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kimuranoriaki

木村 則昭(オルタナ総研フェロー)

1982年上智大学外国語学部英語学科卒業後、2021年5月まで39年間カシオ計算機株式会社に勤務。初めの約27年間はシステム商品の海外営業を担当。その間オーストラリアに約2年、米国に約4年の駐在を経験。その後の約12年間はCSR推進室(後にサステナビリティ推進室)室長としてコンプライアンス及びCSR(サステナビリティ)のグループ内への浸透を推進。グローバルコンパクトの原則に基づき、ISO26000をガイダンスとして、特に「人権」を重点課題として取り組みを進めた。また、2015年にCSRリーダー組織を立ち上げボトムアップによるCSRのグループ内浸透を図った。 2018年度よりオルタナが主催するサステナビリティ(SUS)部員塾の講座「CSR検定3級試験過去問演習と解説」の講師を担当。特定非営利活動法人環境経営学会理事。

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キーワード: #CSR#ESG経営#SDGs

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