フロン管理の現場からーRaMS導入事例紹介ー(3)

「20世紀最大の発明の一つ」とも言われたフロン(CFC:クロロフルオロカーボン)は、それまで有毒な冷媒を使っていた冷凍空調機に大きな進歩をもたらした。ところが、そのフロン類がオゾン層を破壊するメカニズムが発見され、世界で規制が進む。日本でも2020年4月施行の改正フロン排出抑制法で、罰則が大幅に強化された。企業はどのようにフロン類を管理していけば良いのか。積極的に課題解決に取り組む企業を紹介する。(聞き手・香川希理=弁護士:企業法務とフロン排出抑制法が専門、記事・山口勉=オルタナ編集部)

第3回:北雄ラッキー株式会社
総務部 野呂田 歳也 マネージャー
聞き手:香川 希理 弁護士(香川総合法律事務所代表)

北雄ラッキー(札幌市、桐生宇優社長)は、北海道内でスーパーマーケットや衣料店など合計34店舗を展開する。JASDAQにも上場している北海道の大手企業だ。店舗で使用する空調機器、冷凍冷蔵機器にRaMS(ラムズ、冷媒管理システム)を導入したことで、効率的にフロンの管理が行えるようになったという。(連載・PR)

フロン排出抑制法に「途方に暮れた」

――店舗では、多くの空調機器、冷凍冷蔵機器を導入されていますが、RaMSを導入した経緯について教えてください。

北雄ラッキー株式会社 総務部 野呂田 歳也 マネージャー

当社は北海道内にスーパーマーケットの「ラッキー」や衣料品を扱う「ラッキー衣料館」など合計34店舗を展開しています。1982年に創業し、今に至っています。現在、社員・パートナー社員を合わせて約1300人の従業員がいます。

当社は脱炭素対策として、エコノミーとエコロジーを意識しながらフロンについては冷媒を大事に使うよう心掛けている。ショーケースにスライド式のフタをつけることで20%の省エネ効果がありますのでできることから行っております。

2015年にフロン排出抑制法ができた当時、300台ほどの空調機と冷凍冷蔵機があり、これをどう管理したら良いのか途方に暮れました。

当社が加盟する共同仕入れ機構のCGCジャパンの環境勉強会で、日本冷媒・環境保全機構(JRECO)からレクチャーを受け、RaMSを知りました。これなら何とか対策できると思い、2015年フロン排出抑制法施行当初から導入しました。

――導入の決め手になったこと、その後のメリットはありますか。

まずフロンの定期点検報告書作成が非常に楽になりました。300台近くある冷凍機の管理を考えた結果、RaMSで対策するのが良いと考えました。

点検には簡易点検と定期点検があります。簡易点検は全ての冷凍空調機器について、3ヶ月に1度以上行います。毎日店長が店舗を巡回して簡易点検以上の確認を行っていたので、点検簿は当初記入していませんでした。JRECOから法律で求められている点検記録も付けるように指導があり、現在は全店で店長が記録しており、フロン類機器管理についてRaMSを使い点検時期が赤字などでRaMSのリストで表示されることで点検への意識が変わってきたように思います。

定期点検は専門の冷凍機業者(充塡回収業者)が実施・記入するので、こちらは確認して承認するだけで済みます。300台近くある冷凍機の点検が確実に行われ業務効率、法令遵守、見える化にも大変役立っております。

北海道庁が立ち入り検査も

――11月9日、東京都でフロン排出抑制法違反の疑いで初の摘発となる事案がありました。

当社にも、10月28日に北海道庁の立ち入り検査が入りました。フロンの管理運用状況の調査に、道庁の担当者2人が来社しました。

北海道庁の担当者がRaMSを熱心にご覧になっていました。定期点検記録、簡易点検記録、店長たちのコメントなどをチェックしていただき、非常によく法令対応が実施できていると評価をいただき、無事に終了しました。JRECOにも立ち入り検査の状況などの対応について事前にアドバイスをいただき、とても助かりました。

――冷媒に使われるフロンには複数の種類がありますが、何をお使いですか。

業務用空調機器で使用している特定フロンのR22が多いです。その他では代替フロンのR410Aもあります。漏洩量の削減を目指としてよりGWP (地球温暖化計数)値の低いR447に徐々に移行したいのですが、費用もかかるので全部を一度に替えるのは難しいです。

冷凍機を入れ替えるには、お店を休む必要があるので大変です。1店舗だけでも数千万円単位のコストがかかります。アンモニアや二酸化炭素といった自然冷媒に転換する場合は補助金がありますが、GWPが高いフロンから、より低いフロンに更新する場合は補助金制度がないので、そうしたケースでも補助金を出すなど考えてほしいです。

――今後フロンがモントリオール議定書のキガリ改正による生産調整で、供給が削減されることについての対策はどのように検討していますか。

フロンの供給が少なくなってくるので、フロンを大事に使うことが我々事業者にも求められてきます。RaMSではどの機械が漏洩しやすいか一目瞭然で分かりますので、フロン機器管理においてもこれからのフロンの供給対策として大きな意義を持っています。

遠隔で漏洩を感知する装置があり、オープンケースの配管に取り付けています。漏洩があると自動的に感知し、大量に漏洩する前に対処できます。こうした装置を使いながら、なんとかフロンの漏洩を減らしていければと思っています。

この装置は、1台25万円ほどします。300台に取り付けるとコストも膨らむので、漏洩感知器にも補助金を出すなど、導入しやすい制度を設けてもらえると良いと思います。

聞き手:香川希理弁護士(香川総合法律事務所代表)

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JRECO(一般財団法人日本冷媒・環境保全機構)とは
一般財団法人日本冷媒・環境保全機構は、冷凍空調機器からの冷媒フロン類(CFC、HCFC、HFC)の大気放出抑制、使用の合理化及び管理の適正化に係わる事業の推進を、関係事業者との連携及び行政当局との協調のもとで実施している。

事業の一環として2015年に施行されたフロン排出抑制法の遵守ツール「RaMS」をクラウドで提供する。「RaMS」には主務大臣から認可された「情報処理センター」機能を含み、書面によらない一元管理とデータ解析によるDX推進が可能だ。

RaMS(冷媒管理システム)とは
RaMSは第一種特定製品(業務用冷凍空調機器)とその冷媒の管理ができるクラウドシステム。経済産業省と環境省から認可された情報処理センター機能を包含し、法により管理が義務付けられている全書面を電子的に改正法に準拠した形で管理でき、フロン排出抑制法を遵守することが可能になる。

機器の所有者にとって、法遵守のための機器の総棚卸しは煩雑で負担が大きな作業だが、RaMSを活用することで少ないリソースで管理できる。経営に活かせるデータの解析や温対法算出も可能だ。

代替フロンやRaMSについて詳しく知りたい方はこちら→ yamamoto(a)jreco.or.jp
(a)を@に変更してお送りください。