三菱UFJフィナンシャル・グループは統合報告書で「世界が進むチカラになる」というパーパスを強調しました。亀澤宏規CEOの「CEOメッセージ」として、パーパス制定の背景から重要視する環境・社会課題について語っています。一方で、NGOから投融資はパリ協定に整合していないと批判を受けており、各ステークホルダーに対してきめ細やかな情報開示が求められます。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

MUFG Report 2021 統合報告書

MUFG Report 2021 統合報告書のCEOメッセージで、「1年後、『MUFGは変わったな』と思われたい」と結んでいます。「『世界が進むチカラになる』というパーパスを自分のストーリー化し、変革に挑戦していけば、カルチャーを変え、MUFGの未来を変えていくはず」とパーパス制定の背景や課題認識を語っています。

CEOメッセージの文脈は、「パーパス(存在意義)の制定」「環境・課題認識」「環境・社会課題解決への貢献」と続き、「1年後、「MUFGは変わったな」と思われたい」で結ばれています。

「環境・課題認識」では、「中期経営計画が2期連続未達」「PBR(株価純資産倍率)が0.5倍を下回っている状況」を経営陣は重く受け止めています」と述べています。

更には、「株価低迷の理由」を、「資本の効率的な経営ができていないこと、成長ストーリーや夢を示せていない」と分析しています。「『低金利が長期化しているから』という言い訳はいつまでも通用しません。ビジネスモデル変革のスピードを速める必要があります」と「今の延長線上に我々の未来はない」との大きな危機感を示しています。

そして「1年後、『MUFGは変わったな』と思われたい」で、次の様に結んでいます。

「MUFGには信頼・信用、グループ総合力、人材、顧客基盤、グローバルリーチがあります。社員一人ひとりが、『世界が進むチカラになる』というパーパスを自分のストーリーとして落とし込み、自らの業務や行動と結びつけていくことが大切です」

「自分の仕事がどうやってお客さまや社会のチカラになるのか」を問いながら変革に挑戦していけば、それがカルチャーを変え、MUFGの未来を変えていくはずです。お客さまや社員、株主・投資家の皆さまから、1年後に『MUFGは変わったな』と思っていただけるように、全力で変革に取り組んでいきます」

その後の紙面ではROE未達が 2年連続だったという反省から、利益成長だけに依存せず、利益・経費・RWA(リスクアセット)の 3つで ROE向上を目指すという方向性が明確に描かれています。

CEOの覚悟が統合報告書に一貫して表現され、全社で財務・非財務面の価値向上に取り組む動きが感じられる統合報告書です。

一方、同社は「MUFGカーボンニュートラル宣言」を公表していますが、NGOから「同社の投融資の現状はパリ協定に整合していない」との指摘があります。各ステークホルダーに対し、きめ細かな情報開示をされていかがでしょうか。