国際環境NGOの350.org Japanは4月6日、同5日(日本時間)に気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した、第3作業部会第6次評価報告書の内容を受け、日本政府に向けた声明を発表した。2030年までに温室効果ガスを46%削減するとした目標の一層の引き上げや、化石燃料事業への公的支援の中止などを求めた。(オルタナ副編集長=山口勉)

4月5日、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、第3作業部会(気候変動の緩和)の第6次評価報告書を発表した。
報告書は、2010~2019年の間に排出された温室効果ガスの年間平均排出量は、過去のどの10年よりも高かったことや、気候危機の主な原因が化石燃料であること、現在の対策レベルでは気候危機を防ぐことはできないことを明確にした。
また同報告は、このまま既存の化石燃料インフラの利用を続け、現在計画中のものを強行すれば、1.5℃目標の実現は不可能になると警鐘を鳴らす。
声明で350.org Japanは「日本政府は、グラスゴー気候合意でも求められている2030年目標の引き上げにただちに着手するとともに、化石燃料事業への公的支援をやめるべきだ」と訴えた。
「エネルギー部門の脱炭素化に加え、建築物や交通といった部門の省エネルギー政策の強化もこれ以上の先送りは許されない。社会・環境・人権上の懸念やコストが大きい原発や、未だ実用化のめどのたたない不確かな革新的技術ではなく、すでにある省エネルギー技術と自然エネルギー導入の徹底を最優先に、脱炭素化が進められるべきだ」(声明文)
同団体の横山隆美代表は「科学者たちは政府の政策や資金の流れが今もなお化石燃料に依存し、気候危機の破局的未来に向かっていることを明らかにした。新型コロナウィルスのパンデミックに対してすべてのセクターが科学的知見をベースに協力して解決にあたったように、エネルギー、産業、金融といったすべての部門で、脱炭素の緊急行動が必要だ」とコメントした。
同じく広報担当の伊与田昌慶氏は、「科学者グループは、日本は最低でも60%以上の削減が必要で、それ以下では1.5℃目標は達成できないと指摘している。グラスゴー合意も日本政府に2022年までに目標の引き上げを求めているが、現段階で動きはない。今こそ省エネや再エネ政策の強化が必要だ」と早急な対応を求めた。