オルタナ式英単語:“What is the Triple Bottom Line?

新入学、ご就職の皆さん、おめでとうございます。フレッシュな顔ぶれを迎える側の皆さも、当時の志を思い出したり、あるいは何か始めてみようという気分になったりしたのではないでしょうか。

今月はLesson6 “What is the Triple Bottom Line?”「トリプルボトムラインとは何か」を取り上げます。CSRは事業計画のみならず、会計の分野にも影響を与えていることがわかります。この領域は昨今さらに大きく変化、発展しており、ぜひ「その後どうなっているか」に関心を持っていただければと思います。英語は平易です。

【語注】
derive from ~に由来する
coin  (新語を)作る
metric 測定基準、ものさし
stock indices   株価指数 (単数形index)
criteria  基準(単数形criterion)
advocate  支持者、提唱者、賛同者

「環境」「社会」「経済」のバランスを取る
The triple bottom line refers to well-balanced management that they pay attention to environmental, social, and economic aspects of a company’s business operations. Environmental aspects include raw materials, energy, water, biodiversity, and greenhouse gases. Social aspects include human rights, labor practices and decent work, local communities, product safety, and social contribution activities. Economic aspects include their financial situation, the economic situation of the stakeholders and the impact of the organization on the economic system in the region, country and global level in which they are located.

【訳】
トリプルボトムラインとは、企業経営を行う際に、環境的側面、社会的側面、経済的側面にも配慮したバランスの良い経営を行うことを意味します。環境的側面とは、原材料、エネルギー、水、生物多様性、温室効果ガス等を含みます。

社会的側面とは、人権、労働慣行とディーセントワーク、地域コミュニティ、製品の安全性、社会貢献活動を含みます。経済的側面とは、自社の財務状況、自社が影響を与えるステークホルダーの経済状況や自社が拠点を設ける地域、国、グローバルレベルの経済システムに対して組織が与える影響を含みます。

labor practicesとは「労働慣行」です。ちなみにunfair labor practicesは「不当労働行為」となります。(practiceは「ある国、ある会社などにおいて、実際に現場で日常的に行われていること」と考えればよいでしょう。)

decent work「ディーセントワーク」は、労働者の人権を尊重した、人間らしい仕事をさします。

Introduced in 1994 by John Elkington, founder of Sustainability, UK-based company, the concept of triple bottom line has quickly spread throughout global society and is now widely recognized as a business term.

【訳】
トリプルボトムラインとは、1994年にジョン・エルキントン氏が提唱したコンセプトですが、グローバル社会に瞬く間に浸透し、いまではビジネス用語のひとつとして広く認識されています。

エルキントン氏は「サステナビリティ経営には、リソース、時間軸、価値、デザイン、革新、道徳の6つのフレームがあると述べています。CSVを考えるフレームとしても有効とされています。コロナ禍を経験して氏の考えがどのように変化・発展したかは後述します。

The term “triple bottom line” derives from an accounting term. According to accounting, bottom line means the final profit or loss on the income statement which is a part of the financial statement. Usually, it refers only to the earnings (or losses) earned by the company. The term “triple bottom line” was coined by those who suggested they should add factors such as the environment and society, which, like the financial bottom line, companies are required to take ultimate responsibility for their financial performance.
In order for a company to be recognized as a good corporate citizen, they are expected to manage their impact on all aspects of the triple bottom line so that they make a positive impact. The triple bottom line is now considered as a fundamental element of CSR management for companies.

【訳】
トリプルボトムラインの言葉は会計用語に由来します。会計では、ボトムラインとは財務諸表の損益計算書の一番下の行(ライン)すなわち最終的な損益をさします。

通常は会社の収益(あるいは損失)のみを意味するわけですが、財務面のボトムライン同様に企業が最終責任を負うべき環境や社会といった要素を加えるべきではないか、とする論者が「三重の決算」すなわちトリプルボトムラインという言葉を作り出しました。

企業が優れたコーポレートシチズン(企業市民)として認められるためには、トリプルボトムラインすべてに対する影響をマネジメントし、プラスの影響をもたらすことが期待されています。

いまやトリプルボトムラインは、企業がCSR経営を行う際の基本的な要素として考えられるようになっています。

income statement  損益計算書
good corporate citizenは「よき企業市民」。

The triple bottom line is often used as a metric for corporate rankings, stock indices, and ESG investment. On the other hand, companies often do not use the term “triple bottom line” directly but have developed their CSR visions and goals based on environmental, social and economic criteria. Moreover, the concept has become widely recognized by NGOs, the United Nations, and government agencies.

【訳】
企業ランキングや株価指数、ESG投資の評価基準としても、トリプルボトムラインはよく用いられます。

一方、企業でもトリプルボトムラインという言葉を直接使わずに、CSRビジョンや目標を環境・社会・経済を基盤として策定している場合が多々あります。さらにはNGOや国連・政府機関にも広く認識されたコンセプトとなっています。

なお、ESG投資について、経済産業省サイトには以下のように記されています。ご参考までに。「ESG投資は、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指します。

特に、年金基金など大きな資産を超長期で運用する機関投資家を中心に、企業経営のサステナビリティを評価するという概念が普及し、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会(オポチュニティ)を評価するベンチマークとして、国連持続可能な開発目標(SDGs)と合わせて注目されています」

経済産業省「ESG投資とは」

6つの資本を活用して企業価値創造を
As Mr. Elkington himself, an advocate of the triple bottom line, has said, as corporate CSR initiatives are being developed, people agreed that they should change the idea of independent fields of environment, society and the economy into more integrated activities where their interaction is put a more focus on.

【訳】
トリプルボトムラインの提唱者エルキントン氏も述べるように、企業のCSRの取り組みが発展するにつれ、それまで環境・社会・経済と独立した3つの領域であると考えていたのを互いの相互作用を重視した、より統合した活動にしていくべきでないかという考えるようになっています。

InitiativeはCSRの文脈では「社会課題を解決する新たな取り組み」をさします。

According to the Integrated Reporting Framework issued by the International Integrated Reporting Council (IIRC), they assume the creation of corporate value through business models using six capitals: financial capital, manufacturing capital, intellectual capital, human capital, social and relationship capital, and natural capital. This concept includes elements of the triple bottom line, but it is based on the idea of managing these capitals by integrating them rather than working on them separately.

【訳】
国際統合報告評議会(IIRC)の発行する統合報告(Integrated reporting)のフレームワークでは、財務資本、製造資本、知的資本、人的資本、社会・関係資本、自然資本という6つの資本を用い、ビジネスモデルを通じて企業の価値創造を行っていくことを想定しています。

この概念には、トリプルボトムラインの要素が含まれています。別個に取り組むのではなく、これらの資本を融合してマネジメントしていくという考え方が基本となっています。国際統合報告評議会(IIRC)は2010年7月に英国で創立された世界的な非営利組織です。

社会貢献に関する企業の非財務情報に光を当てる、統合報告の開発促進は主な活動のひとつとなっています。

さて「トリプルボトムライン」の概念を提唱したジョン・エルキントン氏は、さらに踏み込んで、2020年4月出版の新著『Green Swans-the coming boom in regenerative capitalism』で、「再生型資本主義」の到来という考え方を示しています。

コロナ禍など従来の価値観や慣習の劇的変化を経験したこの時代、古い秩序から持続可能な未来に向けて大きく変化すると予測しています。そこでキーワードとして掲げられているのが「責任」「レジリエンス」「リジェネレーション」です。興味がある方はぜひ読んでみてください。

今月はここまでです。また来月お目にかかりましょう。