■オルタナ式英単語
What is ISO 26000?■

6月、私が住む地域は梅雨入りしましたが、いまのところ青空が続いています。皆さんのところはいかがですか。

今月はChapter 1, Lesson 7 ‟What is ISO 26000?” 「ISO26000とは何か」を読みましょう。

ISO26000とは、あらゆる種類の組織において持続可能な発展に貢献し社会的責任を果たすための包括的な手引きとして、ISO(国際標準化機構)が2010年に制定した国際的な統一基準です。

CSRや社会的責任に関する規格としては、90年代半ば頃から企業レベルで行動規範や規格を制定する動きが広がり、国連やNGOも基準制定に取り組んできました。しかし様々な基準が存在することのネガティブな影響から、国際的な統一基準の必要性が求められるようになりました。こうした流れのなかで、ISOがCSRにおける統一規格の開発に取り組むことになったのです。この際、マルチ・ステークホルダー・プロセスがとられ、幅広いセクターの代表が議論に参加したことが知られています。(マルチ・ステークホルダー・プロセスとは、多様なステークホルダーがともに行動計画や目標について話し合い、問題解決に取り組む過程をさします)

【語註】
conventional  従来型の  
third party 第三者
recommendation  推奨、提言
consumer groups   消費者団体
prosperity 繁栄
compliance 順守 コンプライアンス
relevant  関係のある、関連のある
regulation  法令、規則 (通常複数形で用いる)
consistency  一貫性

概要
The ISO 26000 was released as an international standard for organizational social responsibility in November 2010. One of the features is that it is a standard of guidance on how an organization can effectively implement and integrate social responsibility, and that it is not a conventional third-party certification standard. The second feature is that the users of the ISO 26000 are not limited to companies. All kinds of organizations are expected to apply the standard. Another feature is that they strongly encourage the stakeholders to participate in the process of the social responsibility activities of the organization.

【訳】
ISO26000は組織の社会的責任に関する国際規格として、2010年11月に発行されました。特徴のひとつは、組織が効果的に社会的責任を実践し、組織全体に統合するためのガイダンス規格であり、従来あるような第三者認証規格ではないこと。第2に、企業に限定せず、あらゆる組織を対象としていること。第三に、組織が社会的責任を実践するにあたって、ステークホルダーの参画を強く打ち出していることがあります。

conventional は「従来の」ですが、「通常の」「型にはまった」という意味もあります。third-party certification は「第三者機関による認証」です。

以下で、この3つの特徴をそれぞれ説明しています。

第1の特徴
Firstly, is that the ISO 26000 is a guidance standard, not a third-party certification standard like the ISO9001 or the ISO 14001. In the case of a third-party certification standard, a company receives the certificate when the requirements by the certification organization are met. The ISO 26000, on the other hand, was published as a guide of recommendations for organizations to effectively implement social responsibility.

【訳】
第1の特徴は、ISO26000がガイダンス規格であり、ISO9001やISO14001のような第三者認証規格ではないということです。第三者認証の場合、認証機関による要求事項を充足している企業が認証を受ける仕組みです。他方、ISO26000は組織が効果的に社会的責任を実践するための推奨事項の手引として発行されました。

 recommendation 推奨ですから、「義務」「要請」とは異なるということですね。

The second feature of the ISO 26000 is that the standard is designed for use by all organizations, not only businesses. For this reason, the term “social responsibility,” not CSR, is used in the standard,

【訳】
第2の特徴は、企業に限定せずあらゆる形態の組織が同規格を活用することを想定している点です。そのためISO26000では、CSRのC (corporate)を外してsocial responsibilityという語を用いています。

「社会的責任」の定義
Social responsibility is defined as responsibility of an organization for the impacts of its decisions and activities on society and the environment, through transparent and ethical behavior that

–contributes to sustainable development, including health and the welfare of society;

–takes into account the expectations of stakeholders;

–is in compliance with applicable law and consistent with international norms of behavior; and

–is integrated throughout the organization and practiced in its relationships.”

【訳】
社会的責任とは、組織の決定および活動が社会及び環境に及ぼす影響に対して、次のような透明かつ倫理的行動を通して組織が担う責任として定義されています。

‐健康および社会の繁栄を含む持続可能な発展に貢献すること

‐ステークホルダーの期待に配慮すること

‐関連法令の順守及び国際行動規範と整合していること

‐組織全体に統合され、組織の関係の中で実践されること

code of conduct  行動規範  codeとは「規則、作法」を意味します。

ここでは、CSRで頻出する英語表現を整理しておいてください。

第3の特徴
The third feature is that a great focus is put on the concept of stakeholder engagement. In the ISO 26000, identification of stakeholder and “stakeholder engagement” is regarded as a central issue of social responsibility for the organization.

【訳】
第3の特徴は、ステークホルダーの参画を重要な概念として取り上げている点です。ISO26000ではステークホルダーの特定およびステークホルダー・エンゲージメントを組織の社会的責任の中心的課題として位置付けています。

ステークホルダー・エンゲージメントは昨今様々な文脈で重視されていますが、ここでは社会的責任を果たすうえで、組織がステークホルダーとのコミュニケーションをとり、そのニーズや考えを理解する取り組みのことです。説明会や交流会を開催する、従業員にアンケートをとる、地域住民対象のイベントを行う、お客様からの電話やメールに対応する等、様々な活動が含まれます。企業の場合でいえば、自社の利益中心に考えるのでなく、ステークホルダーとともに――自分たちもまたステークホルダーの一人である、という認識をもって――社会問題を解決していく姿勢が求められるといえるでしょう。

今回は国際規格ISO26000についての「説明」が中心でしたが、この規格をどのように活用するかが重要です。情報開示の際の枠組みとして用いられることが多い一方で、組織の種類、規模、性格等を反映したアクションプランに落とし込み、多様な形でISO26000を実現する取り組み事例も報告されています。ぜひネットで検索してみてください。

今月はここまでです。また来月お目にかかりましょう。