「オフィスの構築支援を通してSDGsの取り組みを後押ししていく」——。こう話すのは日本で初めて家具のサブスクを手掛けたソーシャルインテリア(東京・渋谷)の町野健社長(47)だ。2018年3月にサービスを立ち上げ、法人会員は従業員数百人規模の中堅企業を中心に1000社を超えた。3月には22億円の資金調達に成功、脱炭素の潮流に合わせて「捨てないオフィス」を各地で増やしている。(オルタナS編集長=池田 真隆)

SDGs戦略を話すソーシャルインテリアの町野社長

SDGsやESGの台頭や長期化するコロナ禍で「廃棄から循環」「所有から利用」に重きを置く時代になった。こうした社会変化から逆算して、「オフィスのあり方」を考えたのが町野社長だ。

町野社長はメディア、マーケティング分野で実績を持つ。上智大学大学院を卒業後、日本ヒューレット・パッカード、マクロミルを経て、500万ダウンロードを記録したキュレーションマガジン「Antenna」を立ち上げた人物だ。ソーシャルインテリアは2016年に創業し、2018年3月からサブスクサービスを開始した。

ソーシャルインテリアの特徴は600ブランド12万種という多彩なアイテムを取り揃えているところだ。日本では家具のサブスクは無印良品やディノスなど大手も参入するが、「あらゆる企業のニーズに応えられるのが強み」と町野社長は強調する。

他社を圧倒する12万種のアイテムをそろえることができたのは独自の「資金調達」の仕組みがあるからだ。サブスクサービスを展開するには、まず始めに一定の量のモノを仕入れる必要がある。サブスクは定価販売とは異なり、毎月回収できる金額も低いので資金力が乏しい企業はそもそも参入が難しい。単価が高い家具はなおさらだ。

ソーシャルインテリアでは注文が入った時に、銀行などから費用を借りる独自の仕組みを構築できたことで、豊富な種類のアイテムをそろえることができたという。

単なるサブスクだけではない点も特徴だ。プロのコーディネーターがオフィス構築に向けて無料で伴走し、内装から処分まで「ワンストップ対応」を行う。「借り放題」プランはなく、選んだアイテムの毎月の利用料金を支払う仕組みだ。最大で2年契約、定価を超えない課金体系なところも好評だ。

内装から処分まで一括で対応する
定価を超えない課金体系 *クリックすると拡大します

例えば、オフィスを構築するにあたり、椅子やテーブル、ロッカーを購入すると1人当たりの費用は15万円程度が相場だという。従業員500人分のオフィス家具を一新するには手元に7500万円がないといけない計算だ。

一方、同社のサブスクを活用することで、1人当たり約6千円あれば手配可能になる。単純計算で500人規模の会社なら月額300万円あればオフィスをリニューアルできる。この費用には、空間コーディネート料や処分時の費用も含んでいる。

自社サイトで回収した家具を販売、1割をメーカーに還元

「よいものが、循環する社会へ」をミッションに掲げる同社はサブスク以外にも家具の販売サイト「サブスクライフ オフプライス」も運営する。そのサイトでは法人会員が使っていた家具を最大80%オフで購入できる。出品できる家具は国内外の有名メーカーに限るが、このサイトで売れた場合、販売価格の1割程度がメーカーにも還元する仕組みだ。

3月18日には22億円の資金調達に成功、順調に成長する同社は「脱炭素」の切り口でさらなる法人会員の開拓を目指す。ワンストップでオフィス構築支援を行う体制を活かして、循環型のオフィスづくりを「ウリ」にした。

プロのコーディネーターが再生材を積極的に利用した家具の提案や「捨てない」ことを目指したオフィスづくりに向けアドバイスを無料で行う。

オープンイノベーションオフィス「SENQ京橋」

中央日本土地建物(東京・千代田)は運営するオープンイノベーションオフィス「SENQ京橋」を、岡山放送(岡山市)は「イオンモール岡山」内の報道制作拠点をこのサービスを使い「循環型オフィス」に変えた。

町野社長は「大手企業からSDGsや脱炭素への対応を切り口にお問い合わせをいただくことが増えた。圧倒的なアイテム数とワンストップ対応の強みを活かして、広げていきたい」と話した。