サステナ情報開示は価値創造ストーリーを軸に

【連載】サステナビリティ経営戦略(25)

5月23日、金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告(案)が公表されました。この中で、気候変動、人的資本、多様性など企業のサステナビリティ情報について有価証券報告書(以下、有報)に「記載欄」を新設する見通しであることが明らかになりました。(サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)

■ TCFDの4つの柱に基づくサステナビリティ情報開示

有報へのサステナビリティ情報開示に関する主なポイントは以下のとおりです。

① サステナビリティ情報全般
・有報で、サステナビリティ情報を一体的に提供する枠組みとして、独立した「記載欄」を創設
・「記載欄」では、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)フレームワークの4つの柱(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に基づき開示
・サステナビリティ情報が、自社の中長期の企業価値や投資家の投資判断において重要である(以下、重要性がある)場合には4つの柱をすべて開示
・「ガバナンス」と「リスク管理」は全ての企業が開示

② 気候変動に関する開示
・企業が、業態や経営環境等を踏まえ、重要性があると判断する場合は4つの柱に基づき開示

③ 人的資本、多様性に関する開示
・人材戦略の重要性を踏まえた「人材育成方針」(多様性の確保含む)や「社内環境整備方針」について、「記載欄」の「戦略」の枠に開示
・企業の事情に応じ、上記の「方針」と整合的で測定可能な指標(インプット、アウトカム等)の設定、その目標及び進捗状況について「記載欄」の「指標と目標」の枠に開示

TCFDの4つの柱に基づくサステナビリティ情報開示については、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が策定中の開示基準の考え方を参考にしたものです。有報への具体的な開示内容については、ISSBの動向などを踏まえ決定されることになります。

■ TCFDの4つの柱を踏まえた自社固有の価値創造ストーリーの構築・発信を

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遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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