記事のポイント
①UCCが「農家の生計」をサプライチェーン上の最重要課題に位置付け
②日本のコーヒー大手としては初めて、「画期的な取り組み」と専門家
③生産者の賃金保証を「コスト増」と捉える日本企業は多かった
UCCグループはこのほど、サステナビリティ指針を策定した。日本のコーヒー大手企業としては初めて、サプライチェーン上のマテリアリティ(重要課題)の最重要項目として「農家の方々の生計」を掲げた。(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長=潮崎 真惟子)

UCCグループは2030年までに自社ブランドのコーヒー調達を「持続可能」に切り替える。国際フェアトレード認証を含む同社が独自で定めたサステナビリティ基準を満たす原料に100%切り替える目標を発表した。
昨年、米コロンビア大学の「持続可能な開発センター」は、世界大手コーヒーブランド10社が「生産者に生活賃金を保証していない」とまとめたレポートを公表した。欧米では農家の生計に関する危機感が高まり、取り組みが進む。
しかし、短期的視点では企業のコスト増と捉えられ、これまで日本では農家の生計を注力分野に掲げる企業は少なかった。
「農家の生計」はフェアトレード推進団体が最も注力してきた分野の一つだ。UCCがそこに切り込んだ意義は大きい。
今回の指針は日本のコーヒー業界で画期的なものになり、今後サステナビリティ分野で同社が世界をリードしていくことに期待が高まる。