■記事のポイント
①ビースタイルグループが沖縄でカーボンニュートラルプロジェクトを開始した
②就農するメンバーの8割は障がい者、環境負荷低減を仕事に「働きがい向上」も
③今後の課題は「プロジェクトをどのように活用していくか」
ビースタイルホールディングス(東京・新宿)とそのグループ会社はこのほど、沖縄県で農業で脱炭素と障がい者の働きがい向上を目指すプロジェクトを始めた。2025年までに耕作放棄地2.5haに1747本の果樹を植える。プロジェクトメンバーの8割は障がい者だ。責任者である坂井善充氏は「環境負荷低減に寄与する仕事につくことで働きがいの向上も見込める」と話す。(オルタナ編集部・萩原哲郎)
■25年までに耕作放棄地2.5haに植え付け
ビースタイルチャレンジ(東京・新宿)がプロジェクトを主導する。ビースタイルグループ内で障がい者雇用を行う会社だ。2019年に沖縄営業所を開設し、障がい者を雇用して農業を行ってきた。
プロジェクト責任者の坂井善充・沖縄営業所所長は愛媛大学農学部を卒業し、農業に携わりながら自然栽培を研究してきた。現在は沖縄営業所責任者として、障がい者メンバーを含む17人で農業に取り組む。
プロジェクトを構想したきっかけは「ただ農業をするだけではなく、沖縄営業所での活動の付加価値をもっと高められないか」という思いだった。
プロジェクトは2022年4月からスタートした。耕作放棄地にグアバやシークワーサーを植え付ける。7月末現在までに2025年までの目標の13%にあたる0.3ha、316本の植え付けを実施した。
沖縄の自然環境に合った果樹を植え付けることで、炭素を固定しカーボンニュートラルを目指す。果樹はグアバやシークワーサー以外にも、ビワや島バナナなどの栽培も予定する。農薬や肥料を使わない自然栽培だ。またプロジェクトに関わるメンバーは17名で、そのうち8割は障がい者となる。
坂井氏は、カーボンニュートラルを目指した農業を行うことなどで「メンバーである障がい者の働きがい向上にもつながるのでは」と話す。
■課題は継続に向けた仕掛けづくりか
沖縄県にはCO₂吸収量認証制度がある。樹木の栽培などの緑化活動を行う団体などを対象にして、樹木のCO₂吸収量を算定し認定書を発行する。県内での経済活動やイベントなどで排出する二酸化炭素のカーボン・オフセットに活用することができる。
ただ坂井氏は「今のところ応募の予定はない」と話す。「まだプロジェクトをどのように活用するかは未定で、今後の課題でもある」とする。
プロジェクトは障がい者雇用事業と坂井氏のノウハウを生かした取り組みだ。これを継続していくための仕掛けづくりが今後、必要となりそうだ。