英語で学ぶサステナビリティ(24)

皆さんこんにちは! 今月はLesson 3 “What does it mean for companies and NPOs to work together?「企業とNPOが協働する意味とは」を取り上げます。先月の後半部分において、NPOが企業との連携を重視していることについて、具体的発言の引用によって触れました。

ここではNPO目線でしたが、今回は「企業にとってどのような意味があるか、何が得られるか」という視点で細かく見ていきましょう。

【語注】
resolution 解決
respective それぞれの
expertise 専門知識
perspective  視点
fundamental 根本的な
enhance 高める、強める
credibility  信頼性
visibility 知名度
by-product  副産物
integration 統合

Companies seeking to make maximum profit were not considered to consist with non-profit organizations voluntarily engaging in activities that benefit society and local communities. Now, we have more problems that cannot be solved alone and more complex social and community issues. We understand that it is possible that both companies and NPOs should contribute to the resolution of issues and social development by working together.

【訳】
最大利益を追求する企業は、自発的に社会や地域に役立つ活動を行うNPOと両立しないと思われてきました。今日、単独では解決できない課題や、複雑な社会・地域の問題が増え、協働することによって課題解決や社会の発展に寄与できることがわかってきました。Consist with は「両立する」。ほかにbe compatible withという表現もあります。

In collaborative work, they cover the weaknesses of each party and brings together their respective strengths and expertise to create a synergistic effect. The Japan Partnership Award, which honors outstanding collaboration between companies and NPOs, shows many examples of collaboration.

【訳】
協働においては、それぞれの弱みをカバーし、互いの得意分野や専門性を持ち寄ることによって、相乗効果を発揮します。優れた企業とNPOの協働を表彰する「日本パートナーシップ大賞」は企業とNPO による多くの協働事例を示しています。「弱みをカバーする」の「カバーする」はmake up for(不足や欠けているところを補うために何かする)でも表現できます。なお、respectiveのあとにくる名詞は複数形になります。

社会的存在としての価値が問われる時代
Before we evaluated the value of a company from a perspective of scale and sales. Today, their social value is heavily focused. Companies are able to find some hints for the fundamental questions of what makes a good company in working with non-profit organizations that deal with social issues. In addition, it is essential that employees should be proud of working for the organization to move forward with CSR. It is also important for the people of the community to take pride in the company’s existence for propelling their CSR activities.

【訳】
以前、企業は規模や売上という点から評価されましたが、今日ではその社会的価値に力点が置かれています。社会問題に取り組むNPOと協働することで、「よい企業とは何か」という根源的な問へのヒントを見つけることができます。従業員がその企業で働いていることに誇りが持てることは、CSRを推進していくうえできわめて重要です。地域の人がその企業の存在を誇らしく思えることも同じく重要なことです。なお、昨今の研究で、企業によるCSRの推進が従業員の会社へのエンゲージメント(会社への信頼、愛社精神、仕事への意欲、責任感等を含む、従業員の会社との深い結びつき)向上につながることが指摘されています。

Non-profitable organizations expect to reap the benefit from working in collaboration with a company. For example, they could start larger activities and get social recognition. It provides a good chance to review and improve the system of organization as they are required to be a self-sustaining organization capable of working together with other entities for collaboration with a business.

【訳】
NPOは、企業と協働することによって利益を得ることが期待できます。たとえば、より大きな活動をおこなう、社会的な認知を得る等です。企業と協働するために、協働できる自立した組織であることが求められることから、組織の見直しや改善を図るチャンスにもなります。reap the benefit fromは「~で利益を得る」。reap は「刈り取る、(利益を)得る」です。entityは辞書的には「存在、実態」ですが、business entityで「企業(体)、事業(体)」となります。イメージしづらい単語かもしれませんが、ビジネス関連の文章で意外とよく用いられますので注意しておきましょう。

協働で何が得られるか
What do they obtain from the collaboration?  On the part of company, collaborative activities will enhance company’s core business, or help promote their CSR activities as a major pillar. Of course, it will also improve the company’s image and expand its network and connections through the collaboration. An increasing number of companies realize that collaboration helps develop their employees’ skills. On the side of NPO, it will provide an opportunity to expand their activities and projects to achieve their mission, gain financial support, and make most of useful network with businesspeople and management techniques. They will also increase their public credibility and visibility.

【訳】
協働した場合、何が得られるのでしょうか。企業の場合、本業の質を高めることもあれば、CSR活動を大きな柱として推進することもあります。もちろん企業のイメージも向上しますし、人脈・ネットワークも広がります。従業員の能力開発に役立つと認識する企業も増えています。一方、NPOの側では、ミッション実現に向けた活動や事業の拡大や、経済的な基盤の取得、企業人との有益なネットワーク、マネジメント手法の獲得のチャンスとなります。社会的信用や知名度の向上にもなります。on the part of は「~の側では」です。enhance は「高める、強める、増やす」等、もともとの質、性質、価値、規模(もともとある程度よいもの)等をよりよくする場合に用いる動詞です。よく用いられますし使いやすいので、ぜひ覚えておきましょう。visibilityはもともとの意味としては「可視性」「目に見えること」ですが、転じて「知名度」の意味で用いられます。

Another important feature of collaboration of companies and non-profit organization is that both parties will be able to develop in various ways. Not only for the parties involved, but also for the community and society, it has the major goal of solving problems, but also produces positive by-products such as changes in attitudes and regional revitalization.

【訳】
協働によって双方が様々な意味で成長できるというのも大きな特徴です。当事者だけでなく、地域や社会にとっても、問題の解決という大きな目的のみならず、意識の変化や地域活性化などの副産物も生まれます。the parties involved は「関係者、当事者」です。regional revitalizationは「地域活性化」を意味します。「活性化」としてはほかにactivation も使えます。

協働のパターンと社会への影響
There are three patterns of collaboration: charity-type collaboration, in which funds and labor are provided (a “win” relationship), transaction-type collaboration, in which the parties involved feel mutual benefits (a “win-win” relationship), and integration-type collaboration, in which benefits are generated not only for the parties involved but also for the community and society (a “win-win-win” relationship).

【訳】
協働は単に資金や労力を提供する「チャリティ型」の協働(winの関係)、当事者同士がメリットを感じる「トランザクション型」(win-winの関係)、当事者だけでなくさらに地域や社会にもメリットが生まれる「インテグレーション型」(win-win-winの関係)の3つに分けることができます。

とくに2010年以降、「地域づくり」という視点から企業とNPOの協働、連携、パートナーシップが推進されています。様々な先進事例から、協働の課題や成功のポイント等も明らかになってきました。これらの協働を通じて、市民ひとりひとりが自分事として地域活性化にかかわることが求められています。参考までに⇒sdgs_partnership.pdf (env.go.jp) 

今月はここまでです。また来月お目にかかりましょう。

aishima

相島 淑美(神戸学院大学経営学部准教授)

日本経済新聞記者、清泉女子大学英文学科教員を経て現職。翻訳家。鈴木淑美名義でJFK伝記など20数冊の訳書がある。 博士(先端マネジメント、関西学院大学)、MBA(関西学院大学)、修士(文学、慶應義塾大学)。文化・文学の視点から日本のマーケティング、SDGs、エシカル消費について研究している。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード: #NPO

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..