記事のポイント
- JALは11月18日に羽田-那覇間で国内初のCO₂排出量実質ゼロフライトを実施へ
- 海外調達のSAFで実現、環境負荷低減やD&I体感できるサステナブルフライトに
- 国内では民間有志団体を立ち上げ国産SAF製造を支援、2030年までに10%搭載へ
日本航空(JAL)は11月18日に羽田-那覇間でCO₂排出量実質ゼロのサステナブルチャーターフライトを運航する。CO₂排出量実質ゼロのフライトは国内初だ。海外からバイオマス原料を基に製造された、代替航空燃料のSAFを調達することで実現した。運航だけでなく機内、空港、またツアーのなかでもサステナブルな体験を盛り込む。同社では2030年までにSAFの10%搭載を目指す。海外調達とあわせて国産の製造支援にも力を入れる。(オルタナ編集部・萩原哲郎)
JALグループでは2050年にCO₂排出量実質ゼロを目標に、省燃費機材への更新や運航の工夫、代替航空燃料の活用を推進する。2030年には2019年比でCO₂総排出量を90%レベルに抑制、全燃料搭載量の10%をSAFに置き換えることを目指す。
今回のフライトで使用するSAFは海外より調達した。運航方法でもCO₂削減を意識する。より燃費の消費が少ない高度や航路、速度での運航や、エンジン推力を絞りスムーズに降下する「連続降下方式」の活用、着陸後の地上移動でのエンジン片側停止などだ。加えて「JALカーボンオフセット」も活用する。
ESG推進部企画グループの平野佳アシスタントマネジャーは「安全運航を第一に様々な工夫を重ねた」と話す。
サステナブルなフライトに向けて、搭乗客が協力できることもある。平野氏は「お客様が少し早めに空港にお越しいただくことで定時運航につながり、より燃費の少ない航路を選択できる。また着陸後に窓のシェード(日よけ)を閉めていただくことで、エアコンの使用時間を短縮できる」と話す。
今回のフライトは「JAL A350 サステナブルチャーターフライトで行く沖縄」で運航する。ツアーではプラスチック使用量やフードロスの削減、D&Iの推進、サステナブルな食材を使った機内食などを体験できる。「やんばるの森ネイチャーガイドツアー」など地域活性化のオプショナルプランも用意する。
2030年への目標を実現していくためにもSAFの調達はポイントとなる。平野氏はその戦略を次のように話す。
「製造が先行する海外ではワンワールドアライアンスでの調達などを行う。国内でも安定してSAFを搭載できるようにするため、民間有志団体『ACT FOR SKY』を立ち上げるなど、国産SAFの製造支援に取り組んでいる。航空業界だけでなく、産業界全体で連携しながら10%達成に向けて取り組みを進めていく」
国産SAFの実現は2050年CO₂排出量実質ゼロへのポイントとなる。