マルハニチロ、国内初の「ブルーボンド」50億円発行

記事のポイント


  1. マルハニチロは国内初の「ブルーボンド」50億円を発行
  2. 三菱商事と連携して富山県で行う、サーモン陸上養殖事業に充てる
  3. 事業を通して、サーモンの地産地消型ビジネスモデルの実現を目指す

マルハニチロは11月2日、国内初のブルーボンドを50億円発行した。富山県入善(にゅうぜん)町で三菱商事と連携して行う、サーモン陸上養殖事業に充当する。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

入善町がある黒部川扇状地 (写真:富山県入善町役場)

ブルーボンドは2018年、セーシェル諸島(首都ヴィクトリア)が発行規模1500億ドル、期間10年のブルーボンド国債を発行した。調達資金を、持続可能な漁業や海洋保全等に充当することが多い。

マルハニチロのブルーボンドは、期間5年、金利は年0.55%、資金使途は、環境持続型の漁業・養殖事業等に特化されている。

マルハニチロと三菱商事は、サーモン陸上養殖事業に向けて合弁会社アトランド社を設立した。2025年度稼働開始、2027年度初出荷の予定だ。

現在、世界の養殖サーモンの7割超はノルウェーやチリで生産されているが、海面養殖は年間を通し海水温が低く、天候・波が穏やかである等の条件が必要になる。

 両社は、富山の黒部川の伏流水と富山湾の海洋深層水を活用することで、清浄性・低温安定性を確保した養殖環境を陸上で構築し、デジタル技術を導入し、効率的なエネルギー使用量でサーモンの地産地消型ビジネスモデルを実現することを目指す。

さらには海洋のエコラベル「GSSI(グローバル・サステナブル・シーフード・イニシアチブ)」の承認認証レベルの管理推進を行う。

マルハニチログループは、「海といのちの未来をつくる」というブランドステートメントのもと、人々の豊かなくらしとしあわせに貢献するというグループ理念の実現に向けて、グループ中期経営計画「海といのちの未来をつくる MNV2024」(2022~2024年度)を推進している。

経営戦略とサステナビリティの統合により、すべてのステークホルダーに対して Maruha Nichiro Value(MNV)を創造し、企業価値向上と持続的成長を実現すると述べている。

変化の激しい経営環境の中にあっても、「経済価値」「社会価値」「環境価値」の創造に取り組み、企業価値の更なる向上、持続的な成長を目指すとしている。

ブルーボンド発行はこうした経営戦略に合致する資金調達と位置付けている。

muroi

室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #ESG

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