LCAから「SLCA」へ、変わるライフサイクル評価指標

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記事のポイント


  1. 製品のライフサイクル評価について、評価指標が広がっている
  2. ソーシャルライフサイクルアセスメント(SLCA)と呼ばれる評価手法だ
  3. SLCAは製品のホットスポット(問題が深刻な箇所)を見つけることに役立つ

製品の「環境への影響」を資源採集から廃棄・再利用にいたる全過程で定量的に評価することをライフサイクルアセスメント(LCA)と呼ぶ。これと似た評価を「社会への影響」に拡張する取り組みが盛んだ。ソーシャルライフサイクルアセスメント(SLCA)と呼ばれる動きを紹介する。(新語ウォッチャー=もり ひろし)

企業はSLCAを利用することで、事業が内包するマテリアリティ(重要問題)――例えば児童労働の問題――を自覚できる。

代表的な取り組みに、UNEP(国際連合環境計画)がガイドラインとして示した「S-LCA」がある(2009年発表・2020年改訂)。

評価の利害関係者として労働者・地域・社会・消費者・バリューチェーン関係者を設定。このうち労働者の場合、児童労働・適性給与・勤務時間などの評価項目を設定する。

ただしSLCAの活用場面は、今のところLCAに比べて限定的だ。

「定量化が難しい」「粒度が荒い(一次情報が足りないため国・産業レベルの粗さでしか評価ができない)」「指標開発者の主観が入りやすい」などの問題が背景にある。

このため現状のSLCAは、ホットスポット(問題が深刻な箇所)の推定に適するとされる。

morihiroshi

もり ひろし(新語ウォッチャー)

新語ウォッチャー。国語辞典の新項目執筆を中心に活動。代表的な連載に「現代用語の基礎知識」の流行観測欄(2010年版~)など。執筆記事一覧

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キーワード: #脱炭素

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