プラ条約内容で各国に隔たり、「11月までに草案」だけ合意

記事のポイント


  1. プラ条約策定に向けた第2回政府間交渉委員会が6月2日に閉幕
  2. 23年11月までに最初の草案を作成することで合意した
  3. しかし、生産規制に積極的な国と産油国との隔たりは大きい

プラスチック汚染対策に関する条約策定に向けた政府間交渉委員会の第2回会合(INC-2)が、6月2日に閉幕した。2024年末までにプラスチック条約を制定するために、23年11月までに最初の草案を作成することで合意した。世界共通ルールの導入が目指されているが、生産規制に積極的な国と、条約に前向きでない産油国などとの隔たりは大きく、溝は今後ますます深まりそうだ。(編集委員=栗岡理子、吉田広子)

■フランス大統領「プラスチックは時限爆弾」

2022年3月に開かれた国連環境総会で、法的拘束力のある「プラスチック汚染防止条約」を採択することが決まった。2024年末までに政府間交渉委員会を5回開催し、条約の制定を目指す。

その第2回会合(INC-2)が、5月29日から6月2日までフランス・パリで開かれた。

INC-2開催初日、会議の冒頭でINC議長は「人間の健康と環境に影響を与えるプラスチックのライフサイクル全体に対処するための集団行動の重要性」を強調し、効果的で迅速な交渉を求めた。

続いてフランスのエマニュエル・マクロン大統領が、ビデオメッセージで「プラスチックは時限爆弾である」と警告、豊かな国が貧しい国にプラスチック廃棄物を輸出するような「持続不可能」な生産モデルに終止符を打つよう呼びかけた。

このままでは地球温暖化目標だけでなく、生物多様性や人間の健康にもリスクをもたらすとして、交渉の最優先事項は「プラスチックの生産を減らす」ことであり、使い捨てプラスチックを速やかに禁止することだとして、その重要性を述べた。

オープニングに続き行われた選出で、アジア太平洋地域の理事国は予定通り日本とヨルダンに決まった。日本はINC-2開催直前、プラスチック汚染に関する法的拘束力のある国際条約の策定をめざして野心的な目標を掲げる有志国連合(HAC)にも加入し、合意形成への意欲を示していた。

世界共通ルールの導入で意見の隔たり
プラ汚染の解決はまず蛇口を閉めること

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環境にやさしい暮らしを考える

栗岡 理子(編集委員)

1980年代からごみ問題に関心をもち、活動しています。子育て一段落後、持続可能な暮らしを研究するため、大学院修士課程に進学。2018年3月博士課程修了(経済学)。専門は環境経済学です。執筆記事一覧

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