イカリ消毒、衛生管理で人の健康と「美しい街」を守る

記事のポイント


  1. 有害生物防除のパイオニア・イカリ消毒は1959年の創業以来、総合衛生管理事業を展開
  2. 「美しい街づくり、それが私たちの願いです。」を企業理念に掲げる
  3. 「予防衛生」の考えに基づき、国内外の衛生管理を支える同社の取り組みに迫った

イカリ消毒は「美しい街づくり」を企業理念に掲げ、「予防衛生」を含めた総合的な衛生管理ソリューションを提供する

有害生物防除のパイオニア、イカリ消毒(東京・渋谷)は1959年の創業以来、総合衛生管理事業を展開してきた。「美しい街づくり、それが私たちの願いです。」を企業理念に掲げ、衛生的な環境を保ち、人々の安全安心な生活やサステナブルな社会の実現に貢献することを目指す。災害発生時には、被災地に駆け付け、感染症対策も行う。国内外の衛生管理を支える同社の取り組みに迫った。


■ 「予防衛生」で人々が安心して暮らせる社会の実現を

トラップで捕獲された虫の数や種類を分析し、現場の根本的な解決を目指す
トラップで捕獲された虫の数や種類を分析し、現場の根本的な解決を目指す

イカリ消毒は、「命を守る予防衛生」をコンセプトに、ネズミやゴキブリなどの有害生物対策をはじめ、混入異物検査や微生物検査など「IPM(総合的有害生物管理)」を手掛けてきた。食品工場や医薬品工場、飲食店、レジャー施設、公共施設、図書館や博物館・美術館など、活動分野は幅広い。インドネシア、マレーシアなど海外にも拠点を広げる。

なぜ同社は「予防衛生」にこだわるのか。

イカリ消毒の小西正彦執行役員CSR推進部長は「人々が健康に暮らせる環境づくりをしていくことで、楽しく幸せに暮らせる街、つまり『美しい街』づくりにつながる。企業理念にあるように、そうした街づくりに貢献することが、私たちの願いなのです」と力を込める。

イカリ消毒は1959年、千葉の港に入る船の防疫・消毒から事業がスタートした。社名は、船の「錨(いかり)」に由来している。当時は、戦後混乱期で衛生環境が整っておらず、ネズミ、ゴキブリ、トコジラミ、カ、ハエが「5大悪」として問題になっていたという。

その後、1964年の東京五輪、1970年の大阪万博など、国際イベントが続き、インフラ整備やビル建設が急速に進んだ。これに伴い、環境衛生のニーズが増加し、イカリ消毒の事業も拡大。2000年代には、食の安全安心への関心が高まり、食品衛生領域にも事業を広げた。

「企業は、昆虫やプラスチックやビニール片、金属など、さまざまな異物の混入リスクを抱えている。私たちが衛生管理を徹底することは、安心して食べたり、飲んだり、製品を使ったり、生活者の安全安心な暮らしにつながる」(小西執行役員)

さらに、小西執行役員は「異物混入などの問題が起きると、経済的損失を生み、ブランドを毀損してしまう。原因を突き止め、『予防的な再発防止策』を講じることが重要だ。異物混入を防ぐことは、食品ロスや廃棄物の発生抑制にもつながる。サステナビリティ(持続可能性)の観点からも、責任は大きい」と続ける。

総合研究開発拠点「ライフ・クリエーション・スクエア(LCスクエア)」
総合研究開発拠点「ライフ・クリエーション・スクエア(LCスクエア)」

こうした総合的な衛生管理ソリューションを実現するための施設が、総合研究開発拠点「ライフ・クリエーション・スクエア(LCスクエア)」だ。2017年に千葉県習志野市に開設した。

同施設には、それまで点在していた検査部門、技術開発部門、商品開発部門、研究部門、研修施設が集結した。国内外の拠点で対応している現場から得られた情報をもとに、各部門が連携し、クライアントが抱える問題の解決に取り組む。

例えば、食品工場の昆虫対策では、単に殺虫剤をまくのではなく、まずは現場の状況をよく把握する。トラップを配置し、捕獲された昆虫の数や生態の特徴を分析。科学的な根拠に基づき、即時的な対応はもちろん、予防につながる現場での改善活動に取り組む。

LCスクエアは、食品工場の製造現場や天井裏の模擬施設も備え、人材育成や技術力向上にも力を入れる。

吉浪誠執行役員LC環境検査センター長は「食品工場での異物混入対策として、床や建屋の改修工事といったハード面から、従業員の教育やシステム構築の支援といったソフト面まで、総合的にサポートしている。多方面の対策提案を行い、クライアントが安全安心な商品を届けられるようバックアップしていきたい」と語る。

■ 津波被害、迅速な清掃で早期再建を

イカリ消毒は、総合的な衛生管理を手掛ける
イカリ消毒は、総合的な衛生管理を手掛ける

総合的な衛生管理を手掛ける同社の知見や技術は、災害時にも役立ってきた。

2011年3月11日、東日本大震災が発生。その影響は広範囲にわたり、東北地方太平洋沿岸部は津波の大打撃を受けて大量のがれきや汚泥が広がった。また、関東地方でも液状化や建築物等への被害も大きく、崩落や天井の落下などに見舞われた。そうしたなか、イカリ消毒社員はいち早く取引先の工場に駆け付け、清掃や消毒作業に従事した。

「現場は、津波浸水で大変な被害を受けていた。がれきやごみが散乱し、悪臭も漂う。不衛生な環境は、災害復旧に不可欠な食品製造業にとってリスクが高い。『迅速な清掃活動が早期再建につながる』という思いで、社員は作業にあたっていた」。イカリ消毒の小西執行役員は、当時を振り返る。

「災害など有事の際は、物理的な被害だけではなく、目に見えにくい『公衆衛生』も問題になる。私たちは、衛生管理という本業を通じて、人々の命や健康を守っていくという使命がある」と語る。

同社は現在、「もしも」に備えて、浸水予防や汚れ掃除ができる「災害対策セット」を一般向けにも販売している。

■ 高まる外来生物への懸念、薬剤に頼らない衛生管理も

最近では、気候変動の影響で、昆虫をはじめとする生物の生息域の北限が北に移動している。日本でも、アルゼンチンアリ、ヒアリ、セアカゴケグモなどの外来生物が問題になり、蚊によって媒介されるデング熱などの問題も顕在化してきた。

また、地球環境への関心の高まりとともに、薬剤に頼らない衛生管理のニーズが増えてきている。「有害生物や外来生物を駆除しながらも、環境負荷を抑え、生物多様性も守っていきたい」(小西執行役員)。

イカリ消毒が貢献できる領域は今後も広がっていく。近年は、再生医療や宇宙事業への貢献など、新たな分野にも挑戦している。

「将来世代に、健康な地球をつなぐためにも『命を守る予防衛生』が重要だと考えている。グローバル化が進んだ結果、ヒアリやデング熱など、これまでにない問題も出てきた。これまでの知見や技術をベースにしながら、新たな問題を解決できるようなイノベーションを生み出していきたい」(吉浪執行役員)

(PR)イカリ消毒

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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