脱炭素や資源自律、経済政策で成長産業化を図る8分野とは

記事のポイント


  1. 経産省は今後10年間で注力する経済産業政策の基本方針を公表した
  2. 「脱炭素」や「資源自律」など8つの分野で成長産業化を図る
  3. 社会課題を起点に事業を考える「価値創造経営」が企業には求められる

経産省はこのほど、「経済産業政策新機軸部会 第2次中間整理」を取りまとめ、今後10年間で注力する経済産業政策の基本方針を公表しました。脱炭素、資源自律、食糧危機、海洋汚染など世界各国が抱える共通の社会課題を8つ特定し、各分野を日本の成長産業にすべく経済政策を打ち出していきます。企業には、社会課題を起点に事業を考える「価値創造経営」への転換が求められます。(サステナビリティ経営研究家=遠藤 直見)

気候変動、コロナ禍、米中対立、ウクライナ侵略——。いま、世界の経済産業政策が大きな節目を迎えています。同時に、世界中で社会課題の解決に対する人々のニーズが更に顕在化しています。

これまで経済に内部化されてこなかった社会課題の解決に、政府も率先して、社会全体で取り組もうとする気運が高まっています。各国政府は、これを産業政策として経済の「成長エンジン」につなげるべく、積極的な施策を展開しています。

例えば米国では、2022年8月に成立した「インフレ抑制法」において、気候変動やエネルギー安全保障対策に3690億ドル(約50兆円)の政府支援を決めました。

欧州では、2月1日に公表した「グリーンディール産業計画」において、温室効果ガス排出実質ゼロに貢献する産業(ネットゼロ産業)に対し、EU域内での生産能力拡大を支援する規制緩和や資金提供などを実施します。

こうした流れを踏まえ、日本でも、世界的な社会課題を起点に「ミッション志向」で大規模・長期・計画的に取り組む経済産業政策の「新機軸」を始動させます(既に一部は始動済み)。

8つの成長領域「新機軸」が注力へ

企業は「価値創造経営」への転換を

持続的な企業価値向上に取り組むには

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遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

遠藤 直見(オルタナ編集委員/サステナビリティ経営研究家)

東北大学理学部数学科卒。NECでソフトウェア開発、品質企画・推進部門を経て、CSR/サステナビリティ推進業務全般を担当。国際社会経済研究所(NECのシンクタンク系グループ企業)の主幹研究員としてサステナビリティ経営の調査・研究に従事。現在はフリーランスのサステナビリティ経営研究家として「日本企業の持続可能な経営のあるべき姿」についての調査・研究に従事。オルタナ編集委員

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