国連環境計画「世界の廃水再利用率はわずか11%」

記事のポイント


  1. 国連環境計画(UNEP)は報告書「廃水: 課題をソリューションに変える」を公表した
  2. 世界における廃水の再利用はわずか11%だった
  3. 廃水は、適切に管理すれば代替エネルギー源や肥料などの資源となると提言した

国連環境計画(UNEP)は8月23日、報告書「廃水課題をソリューションに変える」を公表した。報告書では、世界における廃水の再利用はわずか11%と指摘し、適切に管理することで、代替エネルギー源や肥料などの資源となると提言した。(オルタナ編集部・北村佳代子)

廃水は適切に管理すれば、貴重な資源となる

UNEPと世界排水イニシアチブ(GWWI)が共同で作成したこの報告書は、8月20日から4日間、スウェーデンで開催した「世界水週間」に合わせて発表した。

UNEP海洋・淡水部門の責任者であるレティシア・カルバーリョ氏は「世界の廃水はポテンシャルに満ちている」と述べた。

廃水は、航空産業とほぼ同じ量の温室効果ガスを排出し、環境面や健康面への悪影響など負の側面が注目されてきた。報告書は、廃水を適切に回収・処理・再利用することで、有効な資源となり、気候変動への「適応」に役立つと提唱した。

具体的には、廃水を使ってバイオガス、熱、電気を発生させることで、代替エネルギーを5億人に供給できるほか、適切な廃水管理によって、現在の世界の海水淡水化能力の10倍以上の水を供給できるという。

さらに、廃水から窒素、リン、カリウムを再利用することで、農業養分の世界需要の13.4%を相殺でき、合成肥料の削減につながるほか、約4000万ヘクタール(ドイツよりも広い面積)を灌漑できるという。

報告書では、世界中のさまざまな国・地域での廃水管理の成功事例も紹介した。

報告書(英語)はこちら

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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