記事のポイント
- サステナ情報開示をめぐる世界的な動きは急速に進展している
- 「オムニバス法案」が提案され、「サステナ規制の緩和」との報道も見られる
- 正確には開示基準の合理化を目的とするもので、ESGは後退していない
サステナビリティ情報開示をめぐる世界的な動きは急速に進展しています。「オムニバス法案」が提案され、「サステナ規制の緩和」との報道も見られますが、正確には開示基準の合理化を目的とするものです。ESGは後退していないのです。(トーマツ非財務・サステナビリティ保証統括部パートナー=小口誠司)
IFRS財団は、2021年11月に国際サステナビリティ基準審議会を設立し、2023年6月に「IFRS S1号:サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」と「IFRS S2号:気候関連開示」を公表しました。
IFRS財団が24年5月に公表した証券監督者国際機構(IOSCO)年次総会に関するリリースによると、この基準は世界の時価総額の約40%以上、世界のGDPの約55%、そして世界のGHG排出量の約半分以上をカバーする法域での採用が予定されています。
一方で、EUにおいては、企業のサステナビリティ報告義務を緩和し、企業負担を軽減することを目的とした「オムニバス法案」が25年2月に提案されました。
一部では「サステナ規制の緩和」との報道も見られましたが、正確には開示基準の簡素化・合理化を目的とするものであり、サステナビリティ推進の流れ自体が後退したわけではありません。
開示負担が過大となっていた中小企業向けに報告義務の適用範囲を調整するなど、実務的な観点から現実的な対応を可能とする施策が講じられたに過ぎず、企業が持続可能性に関する情報を適切に伝える意義はむしろ一層高まっています。
そのような中、我が国では25年3月にサステナビリティ基準委員会はサステナビリティ開示基準(SSBJ基準)を公表しました。
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