記事のポイント
- 投信各社はファンド販売の促進に向け、信託報酬率を競うように引き下げる
- しかし、どんな上昇相場もいつかは天井を打って下げに転じる
- 世界的なインフレと金利上昇で、金融マーケットは、大崩れに転じることも
投信各社はファンド販売を促進させる目玉として、信託報酬率を競うようにして引き下げている。日本でも、投信各社は集まってくる運用マネーを当然のことのようにとらえて、信託報酬率をギリギリまで引き下げることに、何の躊躇(ちゅうちょ)もしない。しかし、どんな上昇相場もいつかは天井を打って下げに転じる。現に、世界のマーケットは大崩れの兆候を示し始めている。(さわかみホールディングス社長=澤上篤人)
いまや、多くの投信ファンドが0.1%を大きく下まわる水準の信託報酬率で運用している。
その背景としては、コンピューターを多面的に使用するようになって、運用コストを低めに抑えられるようになったからだ。運用資産の規模がいくら大きくなっても対応できるということがある。
どの運用会社にもコンピューターの多用で運用成績にそう大きな差違がなくなっている。となれば、コスト削減を売り物にするしかない。これなども、このコラムでずっと指摘してきた歴史的なカネ余りバブル相場がもたらした、徒花ともいえるビジネス感覚のひとつといえよう。どういうことか。
世界的なカネ余りで、運用資金はどんどん集まってくる。40年越しの上昇相場で、マーケットは高値圏を追い続けてきた。それで、世界の運用の現場のみならず、金融ビジネス全般に経営が甘くなっている。
日本でも、投信各社はどんどん集まってくる運用マネーを当然のことのようにとらえて、信託報酬率をギリギリまで引き下げることに、何の躊躇(ちゅうちょ)もしないわけだ。
しかし、どんな上昇相場もいつかは天井を打って下げに転じる。現に、世界のマーケットは大崩れの兆候を示し始めているではないか。
■株式・金融市場は大崩れも