トリドールHD社長、心的資本経営で人の力を引き出す

記事のポイント


  1. 「丸亀製麵」などを運営するトリドールHDは「心的資本経営」を掲げた
  2. 効率化や省人化を急ぐ業界潮流とは一線を画し、「人の心」に経営の軸を置く
  3. 同社の粟田貴也代表取締役社長兼CEOにその戦略を聞いた

外食業界が人手不足、コスト高、デジタル化の波に直面する中、「丸亀製麺」などを運営するトリドールホールディングスは2025年9月、「心的資本経営」を掲げた。効率化や省人化を急ぐ業界潮流とは一線を画し、「人の心」に経営の軸を置いた。なぜ今、人に立ち返るのか。粟田貴也代表取締役社長兼CEOに聞いた。(聞き手=オルタナ輪番編集長・池田真隆)

内発的動機が生まれ続ける限り、成長は底を尽きないと語る 写真:高橋慎一

――「心的資本経営」の考え方に至った背景を教えてください。

これは突然生まれた考え方ではありません。コロナ禍が明けてから、世の中の空気や人々の価値観が大きく変わりました。外食の利用動機も、「とにかく安く、早く」から、「その時間をどう過ごしたいか」「どんな体験をしたいか」へと変わりました。

一方で、外食企業における経営環境は非常に厳しい状況です。世界的な分断や不和、食材価格やエネルギー価格の高騰、賃金の引き上げによる人件費増、建築費や資材費の高騰。外食産業にも本格的に少人化・機械化の波が押し寄せ、フードテックやロボットの導入が「正解」のように語られるようになりました。

その中で、「このまま流れに乗るだけでいいのか」「トリドールの存在意義は何なのか」と、強い転機を感じたのです。

私たちの業態は、お客様の目の前で職人が粉からうどんを打ち、天ぷらを揚げる、非常に「属人生」の強いビジネスです。効率だけを考えれば、「人」は真っ先に削られる部分かもしれません。しかし、そこにこそ丸亀製麺の本質的な強みがあります。

私たちは「商品を売っている」のではなく、「体験価値を売っている」。お客様の目の前で起きる音、香り、所作、そして人とのやり取り。そのひと手間、ふた手間が感動体験を生み、それが支持されて市場をつくってきました。

だからこそ、方向性を見失わないために、これまでの成長のストーリーを整理し、ミッション・ビジョン・スローガンを改めて言語化しました。スローガンは「食の感動で、この星を満たせ。」とし、どんな時代でも、まずは人の手で感動を生み、市場を創造する。その覚悟を示したのが「心的資本経営」です。

■従業員満足が顧客満足を生む
ハピネスと感動AIで数値に
■求める店長像は「モチベーター」

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

執筆記事一覧

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。