記事のポイント
- 環境主張と同様に、ウェルビーイングも見せかけだけならウォッシュだ
- 長時間労働や、休み中も連絡がつくよう求める文化はウェルビーイングを損なう
- 「企業を成長させたければ従業員のサステナビリティを考慮せよ」と海外の有識者
従業員の健康や幸福を大切にしているように見せかけ、職場の実態は伴っていない場合、ウェルビーイングウォッシュ(WBウォッシュ)の懸念がある。長時間労働や休みの日でも連絡がつくよう求める職場文化は、従業員のウェルビーイングを損ねる。「企業を成長させたければ、まず従業員のサステナビリティを考慮せよ」と海外の有識者は強調する。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

「ウェルビーイングウォッシュ(WBウォッシュ)」
根拠のない環境主張は「グリーンウォッシュ」と批判を受けるが、従業員の健康や幸福を大切にしているように見せかけながら、長時間労働の慢性化や従業員のメンタルヘルスに対する配慮が不十分、さらには上司によるパワハラなど、職場の実態が伴わない場合は、「WBウォッシュ」との指摘を受けかねない。
■WBウォッシュが蔓延する組織とは
ポーランド・ワルシャワ経済大学のヒューマン・キャピタル・インスティテュートのカタジナ・ミコワイチク助教は、2025年1月、WBウォッシュに関する研究内容を発表した。
ポーランドではメンタルヘルスが従業員の欠勤理由として5番目に高い。企業が「従業員の幸福」を掲げながら導入した施策は実効性があるのか、それとも単なる宣伝なのか、さまざまな業界で働く企業の従業員にグループインタビューを実施した結果、「多くの組織でWBウォッシュが蔓延している」ことが明らかになった。
従業員らが真に必要とする施策は、「過剰な業務量を調整すること」や「低賃金の改善」「過度な管理の是正」だった。しかし多くの企業は、これらにはほとんど着手せず、その代わり表面的かつ場当たり的に、個人のセルフケアに頼る施策を導入していた。
例えば、従業員の心身の健康のために、歩数計や活動量の計測、瞑想といったアプリやデバイスの配布を実施しても、長時間労働などの組織にある健康阻害要因を取り除こうとしていなければ、デバイスや個人に健康管理を丸投げしたWBウォッシュだと断じる。
インフォーマルなチームビルディングの会議なども、業務時間外や多忙な時間帯に設定すれば、かえって従業員の負担やストレスを増大させる形骸化した「つながり」になりかねないと指摘する。
心理面をサポートするホットラインの設置も、窓口があっても上司の態度やノルマといった根本的な労働環境が変わらなければ、実際には機能しない、単なる「アリバイ作り」だとした。
企業のWBウォッシュは、従業員の自社に対する不信感を高め、結果的に生産性の低下や離職を招く負の影響があると警鐘を鳴らす。
マインドフルネスやストレス管理など、個人のセルフケアに依存する施策には限界があり、業務量の是正や風土・文化など、不調の原因をもたらす労働環境そのものを組織レベルで変革することが必要だという。
■「企業の成長には従業員のサステナビリティが重要」
■「健康経営」認定も実態を伴ってこそ
■職場変革のための有効的な施策とは

