■雑誌オルタナ84号第一特集「ウェルビーイング 分断の時代こそ」
企業経営や政策のキーワードとして、日本でも「ウェルビーイング」が広がっている。その一方で、気候危機や、DEI(多様性・公正性・包摂性) への反発、紛争の長期化など、世界は新たな分断に直面している。いま改めて、ウェルビーイングの意義を見直し、再設計する時代に入っている 。(オルタナ輪番編集長・吉田広子、池田真隆、北村佳代子、副編集長・長濱慎、編集部・松田大輔、萩原哲郎)

■ソニーとコクヨ 「WB」で協業
「参加したいのに、参加できない人がいるなら、何とかしたい。みんなでやるからこそ、楽しくなる。多様なアイデアが集まれば、新たな解決策が生まれるはず」
こう語るのは、ソニーグルーブの湯山恭男デザインブロデューサーだ。同社はコクヨとインクルーシブデザインで協働し、アイランドソファのプロトタイプを2026年3月に一般公開した。
インクルーシブデザインとは、多様な視点を取り入れて製品やサービスを設計する手法だ。誰にとっても使いやすいことを目指すこの手法は、ウェルビーイング(WB)の実現にもつながる。
両社のデザインチームと特例子会社の社員は24年10月から意見交換を続け、25年10月から「自然とみんなが集まるソファ」づくりを進めてきた。
車イスから乗り移る際に手が滑らないよう工夫したほか、座面の奥行きは場所によって異なり、体格や座り方の違いに対応した。ソファの一部を内側にくぼませて車イスが入るスペースも設けた。
ソニーグループの特例子会社ソニー・太陽(大分県日出町)の王会傑氏は、「車イスのタイヤで汚さないように気を使わなくていい。足を伸ばしてストレッチもできるし、 みんなと目線が合ってコミュニケーションも取りやすい」 と嬉しそうだ。
コクヨのグローバルワークプレイス事業本部の香取岳氏は「インクルーシブデザインでは、当事者の気付きや不便に目を向ける。その意味ではウェルビーイングと表裏一体だ。そうした視点を取り入れることで、モノづくりのレンズが変わる」と期待を込めた。
(この続きは)
■経済指標を超えた豊かさとは何か
■自然資本が幸福の基盤に

