リコーが新ESG戦略、再エネは「追加性」にこだわる

記事のポイント


  1. リコーは新中期経営戦略の一環として、ESG戦略を見直したと発表した
  2. 温室効果ガス削減目標を引き上げ、追加性のある再エネへの切り替えを進める
  3. 規制対応だけでなく、企業価値向上に向けた成長戦略の一環として位置付けた

リコーは4月8日、新中期経営戦略の一環として、ESG戦略を見直したと発表した。温室効果ガス(GHG)削減目標を引き上げ、「追加性」のある再生可能エネルギーへの切り替えを加速する。米国を中心に反ESGの動きもあるが、気候変動対応を経営の中核に置き、ブレずにサステナ経営を推進する。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)

2050年度までにサプライチェーン全体で「ネットゼロ」の達成を目指す

新ESG戦略では、2030年度における自社排出(スコープ1・2)のGHG削減目標を従来の63%から75%へと引き上げた。さらにサプライチェーン全体を含む排出(スコープ3)についても削減目標を明確にした。2040年度までにスコープ1・2で90%削減、2050年度までにスコープ1~3で「ネットゼロ」の達成を目指す。

同社の目標は国際的な枠組みであるSBTiの「ネットゼロ基準」に準拠したものとして認定を受けた。

再生可能エネルギーの活用についても踏み込み、2030年度に電力使用の85%を再エネで賄う目標を掲げた。オンサイト発電や電力購入契約(コーポレートPPA)などを組み合わせ、「追加性」のある再エネ導入を進める方針だ。

コーポレートPPAは長期間、固定価格で再エネを調達できる仕組みだ。安定して調達できることに加えて、「追加性」のある再エネの調達ができる点も魅力だ。

コーポレートPPAで企業が購入した電力の資金は、新たな再エネ発電所の建設に使う。そのため、「追加性」のある再エネと呼ぶ。過去の電源への価値を付与する「非化石証書」と異なり、社会全体の再エネ量を増やすことにつながる。

非化石証書は脱炭素効果が不透明なこともあり、将来的には再エネとして認められなくなる可能性がある。企業の温室効果ガス排出量の算定・報告に関する国際基準「GHGプロトコル」の改訂が行われているが、改訂案通りに決まると、2030年ごろからは既存の非化石証書を使って再エネと主張することはできなくなる。

■サプライチェーン全体でのGHG削減は競争力に直結する

リコーは今回の見直しでマテリアリティ(重要課題)も更新した。従来の気候変動対応に加え、生物多様性や人権、土地利用といった視点を新たに組み込んだ。

リコーは2017年に日本企業として初めて国際的な再エネイニシアティブ「RE100」に参加するなど、早期から脱炭素に取り組んできた。今回の戦略では、こうした環境施策を事業活動とより強く結び付け、「ビジネスの力で社会課題を解決する」姿勢を鮮明にした。

デジタルサービス事業を軸にグローバルで展開する同社にとって、サプライチェーン全体でのGHG排出削減は競争力に直結する。新たなESG戦略は、規制対応にとどまらず、企業価値向上に向けた成長戦略の一環として位置付けた。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #脱炭素

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