記事のポイント
- 国際NGOが世界の鉄鋼企業の脱炭素化をスコアカードで示した
- 鉄鋼企業18社のスコアリングでJFEスチールは12位、日鉄は17位となった
- 1位の企業でも100点満点中46点台とスコアは低く、課題は多いとNGO
国際気候NGOのスティールウォッチは2026年3月31日、世界の鉄鋼企業の脱炭素化をスコアカードで示した。高炉を有する鉄鋼企業18社を選定し、気候対策実績や社会・環境への影響などの視点で評価した結果、JFEスチールは12位、日本製鉄は17位となった。1位の企業でも100点満点中46点台と低スコアとなり、国際NGOは脱炭素への移行に向けて十分な軌道に乗っている鉄鋼メーカーは存在しない、と断じた。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

日本製鉄は18社中17位と低評価だった
(c) Greg McNevin / SteelWatch
鉄鋼業界は、世界で極めて排出量の多いセクターの一つで、世界のCO2排出量の約1割を占める。国際NGOのスティールウォッチは、企業規模や地域的分布の多様性も考慮しながら、世界の主要な鉄鋼メーカー18社の気候関連パフォーマンスを評価した。
対象企業の18社は11カ国にわたり、生産拠点では29カ国に広がる。18社の鉄鋼生産量は世界全体の約4分の1を占める。日本からは日本製鉄とJFEスチールの2社が対象企業となった。

スティールウォッチは、2024年度までの企業の公開データに基づき、「石炭からの脱却」「低排出な鉄鋼生産の拡大」「気候対策実績」「目標設定と透明性」「社会・環境への責任」の5つの視点から、21の指標に基づいて評価・分析し、100点満点でスコアリングをした。
「総合的な評価としては、1位の企業でも46.2点と、いずれの企業も100点満点中50点にも満たなかった。上位の企業が素晴らしいのではなく、18社のどの企業も脱炭素化に向けた移行準備(レディネス)は整っていない」とスティールウォッチの石井三紀子キャンペーン担当はオルタナに説明した。
1位にはスウェーデンのSSAB社、2位は独ティッセンクルップとなった。両社はいずれも、石炭高炉の廃止計画を公表するなど、脱炭素化に向けた事業戦略や組織基盤の構築にすでに着手している点が、相対的に見て評価された形だ。

■日本製鉄は「石炭を使用した生産に固執」
日本製鉄は、高炉すべての廃止計画がない点が大きく評価を下げ、18社中17位となった。総合スコアは100点満点中16.8点だ。なお、本スコアカードは、2024年度の公開データに基づくため、2025年6月に日鉄が子会社化したUSスチール社は、日鉄の評価の中に含まれていない。USスチール社自体は、18社中8位だった。
日鉄の総合評価は、「石炭からの脱却に向け、直ちに行動をとらなければ、日本製鉄は移行への機会を自ら取り逃がすリスクを抱えている」という内容だ。
特に評価を落とした「石炭からの脱却」カテゴリーに関しては、「石炭消費量が減少傾向にない。日本国内で稼働中の高炉のうち、廃止が決定されているのは1基のみとなっている。同社は、石炭からの脱却を図るのではなく、依然として高炉を技術的基盤の中核に据えて投資し続けている。設備構成の抜本的な改革に向けた具体的な行動の兆しも見られない」と評価された。
また、グリーンアイアン(鉄源1トン当たりの温室効果ガス排出量がCO2換算値で最大350キログラムの鉄源)に対応可能な生産能力を持たず、増強に向けた確定した計画もない。また再エネ利用に関する開示もなく、「低排出な鉄鋼生産の拡大」のカテゴリーでも低評価となった。
一方で、18社での平均値を上回ったのが、「目標設定と透明性」のカテゴリーだ。2050年までのネットゼロ達成を表明していることや、全資産の記載や全体的な情報入手の容易性などが評価された。
ただし、しかし長期目標に関しては、地球温暖化を産業革命前から1.5℃以内に抑えるというパリ協定での目標と科学的に整合していることを示す「SBTi認定」を取得していないため、SBTi認定を得られる気候目標の採用が課題とされた。

■JFEスチールは「来年度、スコアはさらに上がる」
■JFEスチールは「労働安全衛生に改善傾向がない」

