サステナ経営塾2025: [サステナビリティ経営時代のESG情報開示とアンケート対策] 株式会社オルタナ オルタナ総研 室井孝之フェロー 講義

記事のポイント


  1. サステナ経営塾21期下期にオルタナ総研の室井孝之フェローが登壇
  2. サステナ経営時代のESG情報開示とアンケート対策について解説した
  3. ESG情報開示で、高い評価を受ける日本企業が増えていると指摘した

オルタナは2月18日、サステナ経営塾21期下期第5回を開いた。第3講にはオルタナ総研の室井孝之フェローが登壇し、「サステナビリティ経営時代のESG情報開示とアンケート対策」と題して講義した。

登壇するオルタナ総研 室井孝之フェロー

・はじめに、サステナビリティ経営時代に、経営者に求めたい7つの取り組みを挙げた。「経営者の倫理観」が企業倫理のベースになると指摘しつつ、「地球環境への配慮」や「パーパス(存在意義)の明確化」、「経営戦略と人事戦略の連動」などのサステナ視点が経営者に求められていると指摘した。

・近年、ESG情報開示と企業価値の関連性を指摘する研究が相次ぐ。年金積立金管理運用独立法人(GPIF)は2025年6月、女性管理職比率とPBR(株価純資産倍率)、独立社外取締役比率とROE(自己資本利益率)などが正の相関関係にあると示した。

・エーザイやKDDI、NECは「柳モデル」を用いた非財務資本の定量化に取り組んでいる。「柳モデル」はエーザイの柳良平CHROが提唱する分析方法で、PBR1倍を超える部分は、非財務資本(「知的資本」「人的資本」「製造資本」「社会・関係資本」「自然資本」)の価値であると仮定するものだ。PBRに反映されるまで5~10年の長期的な取り組みが求められる傾向がある。

・そのうえで、室井氏は「企業のESG情報開示は進化している」と評価する。FTSE Blossom Japan IndexならびにMSCIジャパンESGセレクトリーダーズ指数をはじめ、CDPのA評価企業数やDJSI(S&Pダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インデックス)選定企業数を見ても、高い評価を受ける日本企業は増えていると指摘した。

・ESG情報開示に影響を与える要因として、次の5つを挙げた。①SSBJ(サステナビリティ基準委員会)の動向をはじめ、②TISFD(不平等・社会課題に関連する財務情報開示に関するグローバル・フレームワーク)、③ISSA5000(サステナビリティ報告に対する保証基準)、④金融庁や東京証券取引所の指針、⑤国連責任投資原則(PRI)に端を発した金融セクターでのESGの広まりの5つだ。

・GPIFは2015年、PRIに署名した。GPIFが選定するESG指標として、①FTSE Blossom Japan Index、②MSCIジャパンESGセレクトリーダーズ指数、③MSCI日本株女性活躍指数、④S&P/JPXカーボン・エフィシエント指数、⑤FTSE Blossom Japan Sector Relative Index、⑥Morningstarジェンダー・ダイバーシティ・ティルト指数の6つを紹介した。

・評価機関によって、評価にバラつきがあることも留意すべきとした。GPIFは2017年以降毎年モニタリングを実施しているが、現状では評価機関ごとに評価方法が異なるため、ある程度のバラつきが生じているという。

・AIの活用についても言及した。MSCI、りそなアセットマネジメント、日立製作所などの事例をもとに、データの大量抽出、大まかな傾向の把握、長期間の推移の分析などにAIが活用されていると指摘した。

・CDPやDJSIのアンケート対応についても解説した。最後に、情報開示の目的は、企業価値を投資家などのステークホルダーに正しく理解・評価してもらうためにあると指摘した。そのために重要なこととして、企業の価値創造ストーリーを明確化することや、経営トップが自らメッセージを発信すること、開示の探しやすさや見やすさを工夫することなどを挙げた。

susbuin

サステナ経営塾

株式会社オルタナは2011年にサステナビリティ・CSRを学ぶ「CSR部員塾」を発足しました。その後、「サステナビリティ部員塾」に改称し、2023年度から「サステナ経営塾」として新たにスタートします。2011年以来、これまで延べ約700社900人の方に受講していただきました。上期はサステナビリティ/ESG初任者向けに基本的な知識を伝授します。下期はサステナビリティ/ESG実務担当者として必要な実践的知識やノウハウを伝授します。サステナ経営塾公式HPはこちら

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キーワード: #サステナ経営塾

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