記事のポイント
- 日本気候リーダーズ・パートナーシップは政府に向けた意見書を公表した
- 意見書ではエネ安全保障と脱炭素を一体で進める政策への転換を訴え
- 化石燃料に過度に依存する日本の構造を根本から変えるべきだと主張した
脱炭素経営を推進する業界団体「日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)」はこのほど、ホルムズ海峡周辺の緊張による原油・ガス価格の高騰を受け、政府に対する意見書を公表した。意見書では、エネルギー安全保障と脱炭素を一体で進める政策への転換が必要だと訴えた。日本のエネルギー供給の脆弱性は、一時的な問題ではなく、「化石燃料への過度な依存」という構造的な課題に起因すると指摘した。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)
JCLPは、気候変動対策を経営戦略に位置付ける企業から成る組織だ。リコーや戸田建設、セブン&アイ・ホールディングスなど237社が加盟する。
今回の意見書では、ホルムズ海峡の封鎖リスクによって日本のエネルギー供給の脆弱性が浮き彫りになったと指摘した。エネルギー供給の脆弱性について、一時的な問題ではなく、「化石燃料への過度な依存」という構造的な課題に起因するとした。
■化石燃料の輸入費は年25兆円に
日本は一次エネルギーの約8割を海外から輸入する化石燃料に依存する。年間で約25兆円を燃料の輸入に支払っており、エネルギー価格の高騰や地政学リスクは、家計や企業活動、財政にも大きな影響を及ぼす。
これまで日本は、石油危機を契機に原子力や天然ガスなどを組み合わせる「エネルギー多角化」を進めてきた。しかしJCLPは、その結果としてエネルギー源は多様化したものの、海外の化石燃料に依存する基本構造は変わっておらず、今回の危機でもその脆弱性が露呈したと分析した。
一方、近年のエネルギー自給率の改善を支えてきたのは、再生可能エネルギーの導入拡大だったと評価した。エネルギー消費を減らす省エネルギーの推進も、自給率向上とエネルギー安全保障の強化に欠かせないとした。
■ZEVや浮体式洋上風力などを重点分野に
JCLPは、今後重点的に取り組むべき分野として、住宅・建築物の断熱性能向上、ZEV(ゼロエミッション車)と充電インフラの整備、太陽光発電のさらなる導入、浮体式洋上風力発電の産業化、そして再エネ導入を支える送配電網など電力系統の強化という5つの重点分野を提言した。
同団体は、高市政権が検討を進める「エネルギー需給構造強靱化のための総合パッケージ」は、日本のエネルギー政策を見直す重要な機会だと位置付ける。
短期的な燃料確保にとどまらず、化石燃料依存から脱却する中長期的な戦略へと転換することが、エネルギー安全保障の強化と気候変動対策の両立につながると強調した。



