東南アジアEV40%時代②:「地球や環境のため」で買う訳ではない

記事のポイント


1.急拡大する東南アジアのEV市場では選択肢が広がっている
2.EV購入の決め手は「環境意識」よりも価格・維持費などの「経済合理性」だ
3.中国系EVは手頃な価格と高いデザイン性で「自己表現」を可能に


ベトナムやタイなどの東南アジアの主要国で電気自動車(EV)の販売割合が40%に達する時代が近づいている。現地消費者がEVを選ぶ最大の理由は「地球や環境のため」ではなく、「経済的に合理的だから」だ。中国系メーカーの参入で、手頃な価格でデザイン性の高いEVの選択肢が増え、「自己表現」やあこがれのライフスタイルを実現できることもEV人気を後押しする。(オルタナ副編集長=京正裕之)

2026年上半期にタイとインドネシアのEV市場で最も売れたJaecooの「J5」

東南アジアのEV市場は中国のBYDが開拓し、他の大手メーカーが次々参入してきた。これに伴い、EVのラインアップが拡大した。消費者の選択肢が増えただけでなく、市場にトレンドが出現し始めるようになった。

タイで2026年上半期(1~6月)に最も売れたEVのモデルは、BYDの車両ではない。中国・奇瑞汽車(チェリー)傘下のJaecoo(ジェイクー)のスポーツタイプ多目的車(SUV)「J5」だった。2025年10月から本格的に販売された新型モデルとなる。

これに続いたのは、BYDで定番化した小型車「ドルフィン」とSUV「ATTO3」、上海汽車傘下MGの「S5 EV」「MG4エレクトリック」だ。売れ筋上位10モデルはすべて中国ブランドが占めた。

インドネシアでもEV販売首位はJaecooのJ5で、BYDの小型車「ATTO1」、吉利汽車(ジーリー)の小型車「EX2」、BYDの多目的車(MPV)「M6」が続いた。タイと同様にトップ10モデルは全て中国ブランドで、SUVが6車種、MPVが2車種を占めるなど、インドネシア特有の大家族や悪路走行にも対応する実用性の高いモデルが支持を集めた。

手頃な価格で販売台数を伸ばしている吉利汽車の小型EV「EX2」

マレーシアのEV市場では、地場メーカー・プロトンの「e.MAS 5」が販売首位だった。ただ、プロトンには吉利汽車が49.9%出資しており、EVも共同開発している。2位以下にはATTO3、吉利汽車傘下の高級EVブランド「Zeekr(ジーカー)」の「7X」、テスラ「Model Y」などが並んだ。

価格帯を見ると、売れ筋モデルは各国とも200万~400万円台のモデルが中心だ。例えば、タイの新車市場全体で最も売れているモデルの1つは、トヨタ自動車のコンパクトセダン「ヤリスATIV」のハイブリッド車(HV)で、価格は72万9000バーツ(約345万円)から。つまり、EVとHVの間での車両価格の差は、消費者の間で大きな問題ではなくなってきている。

■「本格風SUV」の所有をEVで叶える
■購入理由は「コスパ」から「合理性」へ

■中国消費者も「環境」は購入動機の主因ではない
■日本でも「電費」「価格」が購入の決め手に

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hkyosho@alterna.co.jp

京正裕之 (オルタナ副編集長)

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キーワード: #EV

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