「直接対話の力」【CSRコミュニケーションのこれから】

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今津 秀紀(凸版印刷株式会社 トッパンアイデアセンター)

「直接対話の力」と書くとCSRmonthly の読者はおそらくステークホルダーエンゲージメントを想像するだろう。その予想を少し裏切るようで申し訳ないが、今回は海外企業取材の体験談を紹介する。

昨年、今年と欧州の2つの企業を取材する機会に恵まれた。1社はフランスに本社があり従業員数が二千数百人規模の会社。もう1社はイギリスの会社で従業員数は数百人程度の小さな会社である。取材内容は濃厚で、数日間朝から晩までさまざまな部署を訪問してはどのようなCSR活動が行われているのかを把握していくという取材であった。

フランス企業のある会議にオブザーバーとして出席した時のことである。タイミングも良かった。CSRレポートの発行に向けたキックオフ会議で、広報、環境、人事などの主要部門から担当者が集合し、そこに社外のコンサルタント会社と制作会社のスタッフも加わってレポートの構成案を検討しようという会議である。

NGOに直接会って説明も

興味深かったのは、私たちと全く同じことを議論しているということである。事業の全体像の見せ方はこうしよう、環境データは何を優先するべきか、サプライチェーンの取り組みをどこまで詳しく書けばいいのか、いや、ここまで書くとマイナスの印象を与えるのでこの情報を出すのは止めた方がいい――など、私たちが日頃行っている会議がそのままフランス企業で再現されている。正直、あまりにも似ていることに感動さえ覚えた。

一方で、違いにハッとさせられる場面もあった。それは、CSR レポートを誰に配布するかに話題が移ったときである。彼らはまずNGO を候補に挙げた。さらに、有力なNGOにはただ送付するだけではなく、できれば直接会って内容を説明するのがいいだろうと話し合っていた。私たちは欧米のNGO が大きな影響力を持ち信用力が高いことも知っている。ところが、それを実感する機会はなかなかない。

あまりにもふつうにNGOへの対応を検討している姿を見てストンと腹落ちさせられてしまった。CSRの知識や報告内容のまとめ方は同じであっても、社会を構成するステークホルダーの違いをこの会議を通して教えられた思いである。

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2014年8月22日(金)11:45

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