CSRのCはConsumer(消費者)だ!

今さらながらのCSRの話題です。CSRはCorporate Social Responsibilityの略で企業の社会的責任と日本語で表記しますが、CSRという表現の方が使いやすいのかもしれません。

CSRは経営においてなくてはならない、あって当然、わざわざ言うまでもない普通のこととして存在すべきだと考えますが、その意味するところをCSRと表現すると分かりにくいから、いわゆる近江商人の「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」と説明すれば良いのだという議論は現在も話題に上がることがあります。

欧米風のCSRが日本に上陸し、CSR元年と言われる2003年から2017年の現在までの時間的経過を考えると、子どもが産声を上げて義務教育を経て、高等教育へと進む段階に入る時期と言えましょう。

欧州では、英国の「現代奴隷法」という、強制労働などの現代的な奴隷の防止を目的にした法律が2015年成立。同法は企業に対して、サプライチェーンにおける強制労働の防止に関する年次報告書の公表を求めています。

人権保護がCSR経営の欠くべからず要件として強く意識していることが分かります。
 
最近ではCSVというコンセプトが、ハーバード大学の教授であり、企業の競争戦略論で知られるマイケル・E・ポーターなどにより、2011年、CSRに代わる新しい概念として提唱されたのをきっかけに、CSVがCreating Shared Valueの略で、日本語で「共通価値の創造」と呼ばれ、注目されています。

ポーター教授は「寄付や社会貢献を通じて自社イメージの向上を図るこれまでのCSRは、事業との相関性はほとんどない」としています。CSVとCSRとは社会性という意味では似ていますが、どちらかというとCSRは守りのイメージです。

社会・環境への自社の責任を負う、ステークホルダーと良好な関係を生み出そうとするものです。一方、CSVは攻めのイメージです。その企業の持つ強み、経営資源や専門性などを生かし、ビジネスとして社会的課題を解決していくという視点であり、その点でCSRとCSVでは大きく異なっていると言えましょう。
 
CSVは、地域社会の企業や諸団体(住民)を結びつける考え方として注目されていることを踏まえ、「地域にある共通価値を再発見と創出」というテーマを掲げ、日本福祉大学知多半島総合研究所は、2014年度、2015年度の2回にわたってCSVフォーラムを開催した実績があります。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #CSR

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