原田勝広の視点焦点:SDGs『ラベル貼り』を脱する術

原田勝広
オルタナ論説委員
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その言葉通り、プラスチック・バンクはユニークな仕組みです。途上国に暮らす貧しい人が海洋プラスチックをプラスチック・バンクに持ち込むと、それがリサイクル原料として売られ、持ち込んだ人には報酬としてデジタルトークンが付与されます。

本来ごみだったものを「ソーシャル・プラスチック」という資源にすることでキャシュフローが生まれ、このトークンを使ってモバイル決済を導入している店舗で食料品や水と交換できるわけです。

公共料金の支払いも可能だし、将来は、学校の授業料、医療保険、携帯の通信料、電気代などもこのトークンで払えるようにする予定です。プラスチック・バンクにも収益が発生し、サステイナブルになるわけです。

リサイクルにかかわる取引はIBMのブロックチェーン技術によりすべて記録され、可視化されるため改ざんが不可能で、デジタルデータの信頼性を高めることができました。

既に世界の最貧国のひとつ、カリブ海のハイチの32か所で、プラスチック汚染のひどいフィリピンの27か所でプラスチック・バンクのオぺーレーションが始まっており、これまでに2,000人以上の人や団体が3,000トンのプラスチックを持ち込んでいます。

海がきれいになるだけではありません。人々に現金ではなくデジタルトークンで携帯電話に支払われるため、強盗に襲われる心配もありません。毎年800万トンのプラスチックが流れ込むといわれる海で、人々はそれを集めることで家族を養い、子どもを学校に通わせることができるのです。

プラスチック・バンクは今年中にインドネシアでもスタートする見通しです。ブラジル、インド、エチオピアでも関心を呼んでおり、今後、この活動は20-30カ国で展開されることになっています。

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原田勝広
オルタナ論説委員
日本経済新聞記者・編集委員として活躍し日本新聞協会賞を受賞。明治学院大学教授に就任後の専門はCSR論、NGO・NPO論、社会起業家論。2018年より現職。著書は『CSR優良企業への挑戦』『ボーダレス化するCSR』など多数。

2019年8月22日(木)18:24

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