論説コラムー日本の難題に挑むソーシャル・インパクト・ボンド

原田勝広
オルタナ論説委員
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SDGsが大変なブームだが、思いだけでは問題は解決しない。いつの時代も先立つものはお金、解決のための事業に回す資金である。

ひとつの手段が社会的インパクト投資である。一般的な投資は経済的なリターン(利益)を求めるが、これは経済的なリターンと合わせて社会的なリターン、つまり環境保全や、貧困、子育て支援、介護など社会課題解決に貢献する投資のことで今世界の注目を浴びている。

SGDsやESG投資が注目されているおかげで世界の社会的インパクト投資市場は飛躍的に拡大しているとはいえまだ十分ではない。例えば、SDGsの17ゴールを達成するには7兆円が必要とされるが、1.4兆円しか調達されていないのが現状だ。

日本の場合、2018年度で3,440億円と、4年前に比べ20倍も増えているが世界の市場の1%にも満たない。まだまだ日本ではなじみが薄く、認知度はわずか6.8%にすぎない(社会変革推進財団の意識調査)。それでもミレニアル世代と呼ばれる若い人たちを中心に投資に関心がある層は20%あり、今後に期待が持てる。

日本の社会的インパクト投資急拡大の要因としては、SDGやESG投資が脚光を浴びたことから、メインストリームである生保、銀行、ベンチャーキャピタルなど既存の金融機関による投資が、資産運用会社や新たな保険会社の参入などでさらに拡大したことが大きい。

また、クラウドファンディングや投資信託など個人投資家が参加できる社会的インパクト投資の金融商品が増えたことも影響したようだ。さらに、シェアとしてはそれほど大きくないが、注目したいのはソーシャル・インパクト・ボンド(SIB)の広がりである。

このSIBは今年6月に閣議決定された経済財政運営と改革の基本方針2019、いわゆる骨太計画や成長戦略実行計画の中に盛り込まれており、政府としても今後、普及に力を入れようとしている分野だ。

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原田勝広
オルタナ論説委員
日本経済新聞記者・編集委員として活躍し日本新聞協会賞を受賞。明治学院大学教授に就任後の専門はCSR論、NGO・NPO論、社会起業家論。2018年より現職。著書は『CSR優良企業への挑戦』『ボーダレス化するCSR』など多数。

2019年11月15日(金)9:00

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