編集長コラム)「ちいきん会」という大きなうねり

「第3回ちいきん会in福島」パネルディスカッションの発言要旨

モデレーター:日下智晴・金融庁監督局総務課地域課題解決支援室長
パネリスト:遠藤俊英・金融庁長官、北村清士・東邦銀行頭取、橘清司・福島県企画調整部政策監、香西志帆・百十四銀行・映画監督

――多様な職員たちの能力をどう生かすか。

北村:わが社も兼業を認めることにした。いろんな能力、資格を持っている社員を増やしたい。

遠藤:金融庁では、組織の力を高めるために、個人の力をどう引き出すか。民間企業はどうやっているか。経営のトレンドは。研究すると、個人が自由な発想でいろんな仕事に取り組むことが生産性を向上させる。金融方針でも「心理的安全性」を扱っている。「何を言っても許される」空気。それを評価する空気が大事。グーグルもこれを提唱。言いたいことを言わせる。仕事以外の時間。金融庁でも仕事の2割は他のことをやってよい(政策オープンラボ)。ちいきん会も菅野君が制作オープンラボで手を挙げた。

:2003年に総務省入省。今年4月から福島県庁に出向。かつて千葉県庁に出向し、仲間たちとNPOを立ち上げた。6次化産業のNPOの理事にもなった。第一金曜日に、市民、自治体、膝を突き合わせて街づくりの勉強会をしている。ネット配信も進めている。出会った人たちからたくさん刺激を受けた。

――福島の産業振興のために何をすれば良いか。

:福島県でも沿岸部の浜通りでは東電だけで7000人の雇用を支えていた。雇用を代替しないと。原発も廃炉に。福島県イノベーティブ・コースト構想でイノベーションを加速。復興庁とも連携、教育事業をサポートしている。

北村:福島のこれからの在り方としては、伝統的な産業をもっと強くしたい。農業、漁業、酒、シルク、ニット。新技術も。ロボット。伝統的な産業と新産業のベストミックス。

――地域金融機関の取り組みが地域を左右しています。

遠藤:金融庁は20年前に出来た。そのころは金融監督がメインの機能。半沢直樹のような金融機関の検査。日本の不良債権を洗い出す。その不良債権問題も2000年代半ばに収束。しかし収益性はなお低い。経済活性化の中で金融機関が果たす役割は大きい。お金と情報と人材が武器。金融機関が自分で考えて、地域の課題を解決するために伴走して欲しい。背中を押す。「対話路線」なにをどうやれば良いのか。金融機関のトップは気付いてほしい。金融の実績はよく知っているのでアドバイスもできる。

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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