新型コロナで注目されるプロスポーツの社会貢献

世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、多くのプロスポーツ選手やチームが独自の手法でファンやコミュニティをエンパワーメント(力を与える)している。プロ野球団の横浜DeNAベイスターズが行った「ベイマグロ皿」のフードバンクへの寄付や、「#うちで過ごそうアイデア会議」と題した限定ライブ配信も、その一例だ。(寺町幸枝)

■プロスポーツは「公共財である」

フードバンクなどに寄付されたベイマグロ皿

横浜DeNAベイスターズは、日本のプロスポーツの中でも、「地域」に根ざしたビジネス展開を第一に掲げているチームの一つだ。

同社広報の河村康博氏は、岡村信悟社長の言葉を代弁し「横浜DeNAベイスターズは、株式会社ではあるが、会社やチームを支えているのは、ファンと市民の皆さん、そして企業、とりわけ地元企業に支えられている『公共財』だという意識を持っている」と説明する。

他球団にはない目立った動きとなったのが、開幕に合わせて球団が用意していたオリジナルフードの一つである「ベイマグロ皿」約1100食分(約55万円相当)を、横浜市社会福祉協議会とNPO法人フードバンク横浜に寄付したことだ。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で開幕が延期したため、廃棄ロスを防ぎ、食料支援を必要としている人に届けるため、食材寄付を行ったという。

DeNAは「コミュニティボールパーク」化構想を提唱し、度重なる改修により、昨年フードエリア「ベイサイド・アレイ」をオープンした。地元・神奈川にこだわったメニューが楽しめるコーナーで、このベイマグロ皿は看板メニューの一つ。だれでも気軽に横浜スタジアムに来られるような仕組み作りも、同社の公共体としての役割と責任によるものだ。

荒波翔・元ベイスターズ選手のインスタグラムから

さらに同社は4月29日、事前登録で誰でも参加できる初のオンラインイベント「Next Ballpark Meeting オンライントーク 野球を楽しむ #うちで過ごそう アイデア会議」を開催した。昨年引退したばかりの荒波翔氏をゲストに迎え、ファン視線で球団に向けた様々な要望や、自宅待機生活を助長するための情報提供を行う形となった。

100人を超えるファン同士が、オンラインを通じて一斉に情報共有する機会は非常にユニークな試みだ。中でも荒波氏の、「自発的に」始めたというインスタグラム上でのバッティングフォームに関するアドバイス活動は、ファンの間でも評価が高い。

初のファンとのオンラインミーティングということで、DeNA社内でも注目されていたというこのイベント。「予想以上に盛り上がった」と話す河村氏は、実現可能・不可能に関係なく、ファンの生の声に耳を傾ける機会になっただけでなく、社内で計画しているアイデアがニーズに合っているか照らし合わせる機会にもなったと続けた。

■スポーツで繋がったコミュニティに届ける

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