中井環境次官:地域循環共生圏で「質的な成長」へ

SDGsの目標年まであと10年。企業もサステナビリティの取り組みが待ったなしだ。新型コロナへの対応も迫られる中で、環境省は「脱炭素社会」「循環経済」「分散型社会」に向けた経済社会のリデザインを示した。7月に環境事務次官に就任した中井徳太郎氏に聞いた。(聞き手・森 摂=オルタナ編集長、吉田 広子、池田 真隆)

地域循環共生圏で大量生産・消費を見直し、エネルギーや食料の自立・分散型の社会を目指す 撮影:川畑 嘉文

中井 徳太郎(なかい・とくたろう)
85年東大法卒、旧大蔵省へ。16年環境省廃棄物・リサイクル対策部長、17年総合環境政策統括官。20年7月から環境事務次官。東京都出身、58歳。

─環境省がこれから力を入れるテーマは何ですか。

気候危機と新型コロナウイルスのリスクは同時にとらえています。今後も異常気象は相次ぎ、第2第3の感染症も起こりうるでしょう。人間に例えると、いま、地球は「生活習慣病」にかかった状態だと思っています。つまり、体質を根本的に改善しないと治らないのです。

具体的には、社会・経済を一極集中型から「分散型」に変えていくことが必要だと考えます。そのためには、デジタル投資によるDXが欠かせません。ニューノーマル時代は「3密回避」が必須ですが、DXが進むことで、必然的に分散型の社会・経済が成り立ちます。

高度経済成長期に政府は多極分散型国土をつくるための政策を打ち出しましたが、今回は、政府によるトップダウン型ではなく、事業者によるボトムアップ型のDXで社会のリデザインを進めることが有効だと考えています。

キーワードは「脱炭素社会」「循環経済」「分散型社会」です。企業のサステナビリティ活動は、存在の危機を乗り越える「サバイバビリティ活動」が不可欠になるでしょう。

「26%減」では2度目標は無理

森 摂(オルタナ編集長)

森 摂(オルタナ編集長)

株式会社オルタナ代表取締役社長・「オルタナ」編集長 武蔵野大学大学院環境学研究科客員教授。大阪星光学院高校、東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。編集局流通経済部などを経て 1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2006年9月、株式会社オルタナを設立、現在に至る。主な著書に『未来に選ばれる会社-CSRから始まるソーシャル・ブランディング』(学芸出版社、2015年)、『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年)など。環境省「グッドライフアワード」実行委員、環境省「地域循環共生圏づくりプラットフォーム有識者会議」委員、一般社団法人CSR経営者フォーラム代表理事、日本自動車会議「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」選考委員ほか。

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