「ネオニコ問題は決して解決していない」④

山田 敏郎
金沢大学名誉教授・学術博士

【2014年度:2014年10月23日~2015年7月20日(271日)ハワイ/マウイ島 ダニの居ない地域での農薬の蜂群柄の影響】[5]

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マウイ島の実験風景

これまでの長期野外実験から、ネオニコはほぼ100%蜂群を滅亡させるが、有機リンは無農薬群(コントロール)とほぼ同程度の確率で蜂群を滅亡させるという結果を得ている。

しかし、日本の一部の研究者から蜂群の滅亡はネオニコではなく、ダニが主原因だという説が強く叫ばれた。

そこで、我々のこれまでの結果を確認するために、ダニが居なく寒い冬のない(越冬中の実験ミスがない)マウイ島で、2013年度に行った実験と同じ濃度条件で、現地の養蜂家の協力を得て、長期野外実験を行った。

日本での実験では実験担当者や実験資金の不足から、各濃度条件での実験を1群ずつしか行えなかったが、ハワイでは各条件で3群ずつ行った。その結果、実験期間中に、ネオニコ群は全群とも滅亡した(滅亡率100%)が、有機リン投与群は無農薬群(コントロール群)と同じく1/3だけ滅亡した(滅亡率33%)。

ダニがおらず、寒い冬のないマウイ島でも日本の中西部(志賀町)で行ってきた長期野外実験結果と同様の結果を得たことから、蜂群崩壊の主原因はダニではなくネオニコであるといえよう。

【2018年度: 2018年6月19日~2018年12月16日(180日)石川県志賀町 農薬含有花粉ペーストのダニ被害群への影響】未発表のため内容非公開

農薬(DF)を含有した花粉ペーストをダニの被害を受けた蜂群に投与した場合、農薬(DF)含有花粉ペースト単独を投与した場合よりも、少ない農薬摂取量で蜂群が滅亡した。

[5] Toshiro Yamada, Yasuhiro Yamada, Kazuko Yamada, Paul Apao: Journal of Biological Series, 1(4):156–186 (2018).
https://www.academiapublishing.org/journals/jbs/abstract/2018/Oct/Yamada%20et%20al..htm

「ネオニコ問題は決して解決していない」⑤へ続く

山田 敏郎
金沢大学名誉教授・学術博士
金沢大学大学院工学研究科修士課程修了。 東洋紡績㈱犬山工場勤務を経て1988年より同社総合研究所主席研究員。2014年よりプラスチック成形加工学会に論文編集委員として所属。現在、金沢大学名誉教授・学術博士。専門は化学工学、養蜂。

2020年10月19日(月)10:00

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