「ネオニコ問題は決して解決していない」③

山田 敏郎
金沢大学名誉教授・学術博士

「ネオニコ問題は決して解決していない」②はこちらへ

【2012年度:2012年6月28日~2013年7月26日(381日)石川県志賀町 ネオニコと有機リンとの蜂群への影響】[3]

2010年度および2011年度の実験において、ネオニコの長期残効性が従来の農薬(有機リン系農薬)では生じなかったCCDを引き起こすと結論づけているが、果たしてこの結論が間違っていないかを確認するために、これまでと同じように農薬種の殺虫能力を調整した各農薬濃度で、ネオニコ(DF)投与群と有機リン(フェニトロチオン:FT)投与群の蜂群への影響を、長期野外実験により調べた。

各農薬の濃度はカメムシ駆除濃度の1/50の濃度とした(DF2ppm; FT10ppm)。農薬の残効性による蜂群への影響の違いを調べるために、毎回(実験間隔:ほぼ1週間)農薬入り糖液を新しく作成し、新しく調整した農薬の投与後の死蜂数の変化を調べた(以降の実験において、特に記載のない限り、農薬入り糖液を用いた投与実験である)。

その結果、ネオニコ投与群は各実験日間で死蜂数の減少は少なかったが、有機リン投与群の死蜂数は急激に減少した。このことからネオニコは殺虫能力が維持されるが、有機リンは新しく調整した農薬の投与直後は本来の殺虫能力を呈するが、短期間でその殺虫能力が失われることを示唆している。

ネオニコ投与群がCCDの様相を呈して滅亡した時点で、有機リン投与群は蜂1匹当たり十分な量の農薬を摂取していたので、その後、農薬投与を停止して有機リン投与群の蜂数や蜂児数を観察記録した。

有機リン投与群はコントロールと同じように越冬にも成功した。この実験の結果、有機リンは農薬散布直後に蜂群に一時的ダメージを与えるが、長期にわたる影響はないと推定することができ、CCDのような現象を引き起こさないといえる。

【2013年度:2013年8月13日~2014年2月28日(199日)石川県志賀町 極低レベルでのネオニコと有機リンの蜂群への影響】[4]

ページ: 1 2

山田 敏郎
金沢大学名誉教授・学術博士
金沢大学大学院工学研究科修士課程修了。 東洋紡績㈱犬山工場勤務を経て1988年より同社総合研究所主席研究員。2014年よりプラスチック成形加工学会に論文編集委員として所属。現在、金沢大学名誉教授・学術博士。専門は化学工学、養蜂。

2020年10月16日(金)10:00

ご購読のお申し込み

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑