ごみリサイクル率14回日本一の大崎町、国内外にノウハウ展開

記事のポイント


  1. 鹿児島県大崎町は、ごみリサイクル率日本一をこれまで14回達成した
  2. 「生ごみ堆肥化」など、大崎町の資源循環の取り組みは他の自治体にも広がる
  3. 国内外からの視察拡充に向け、今年12月、体験型宿泊施設を開設する

鹿児島県大崎町は、80%超のごみをリサイクルに回す、リサイクル率日本一を14回達成した自治体だ。大崎町が進める生ごみの堆肥化やリサイクルなどの取り組み「大崎リサイクルシステム」は、長崎県対馬市や静岡県西伊豆町などでも実証実験が進むほか、トリニダード・トバゴやケニアなどの海外からも視察が増える。視察者が住民のようにごみ減量を体験できる宿泊施設を今年12月に開設する。(オルタナ編集部・北村佳代子)

鹿児島県大崎町は14回ごみリサイクル率日本一を達成している
Photo:志鎌康平

「生ごみを冷凍する」
「台所は、(ラップやペットボトルを)洗って乾かす場所」
「行政と町民との信頼関係の下に(リサイクルの取り組みが)成り立っている」

これらは2023年8月、多摩美術大学の永井一史教授が5人の学生とともに大崎町住民のごみ廃棄の実態を視察した際に、学生らが住民の生活の中で「気づき」として挙げた点だ。

広大なシラス台地が広がる大隅半島に位置する大崎町には、人口1万2127人、6560世帯が住む(2023年10月1日現在)。

大崎町のリサイクル

■リサイクル率日本一までの道のり

もともと焼却処理場がなかった大崎町は、廃棄されたごみのすべてを埋め立て処分していた。しかし1995年以降、当初の想定以上に埋立処分場の残余年数が逼迫した状況に直面する。

焼却炉の新設も検討したが、建設費用に加え、毎年莫大な運用費が伴うほか、老朽化すれば修繕費用も必要になる。新たな埋立処分場の建設も、周辺住民の理解を得られない。そこで苦肉の策として選択した道が、既存の処分場を長く使用するために埋め立てに回るごみを削減することだった。

1998年に、まずはカン・びん・ペットボトルの3品目を資源として分別回収を始める。2001年からは試験的に生ごみの回収も開始した。

2002年に生ごみや草木などの有機物を堆肥化(コンポスト)する工場が稼働すると、2004年には、有機物の埋め立てを全面禁止とした。

その後も住民の意見を取り入れながら、分別・回収の仕方に変更を加える。現在では廃棄物を27品目に分別回収する。大崎町のリサイクル率は2020年度に83.1%に達成し、14回目となるリサイクル率日本一を達成した。

大崎町の埋立ゴミは約85%減少した

■コンポストで「住民の費用負担減」と「CO2削減」を実現
■静岡県西伊豆でも「大崎リサイクルシステム」を実証実験
■2年半で1400人の視察を受け入れる
■町民のように手を動かす体験型宿泊施設を開設

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北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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