記事のポイント
- サステナ担当として異なるセクターと協働して地域課題に取り組んできた
- サステナビリティ推進の一連の流れを7つのステップにまとめた
- カギとなるのは「マルチステークホルダー」との連携
企業のサステナビリティ推進担当者として、2022年には新宿区を拠点に20の異なるセクターとの協働活動を通じて地域の課題に取り組んできた。これらの実践から得た知見と成果を通して、サステナビリティの先に進むための道筋を探っている。そのカギとなるのが「マルチステークホルダー」との連携の重要性だ。(高山功平)
■サステナビリティ推進の一連の流れ
1.地域課題を理解するための定期的なステークホルダーダイアログの実施
地域の課題を把握するためには、定期的に様々なセクターとの対話が重要だ。地域の方々と「ご近所さん」のような関係を築き、直接対峙している地域社会の課題に対する理解を深め、連携における「関りしろ」を明確にする。
2.連携による新たな解決策の提案
対話を通じて得た情報をもとに、様々なセクターとの協働により解決できる新たなアプローチを提案する。異なる視点、異なる立場からのアイディアが交わり、イノベーションが生まれる環境が整う。
3.連携による課題解決活動の実施
提案したアクションを対話によりブラッシュアップした上でアクションを実施する。企業単独での活動に比べ、各セクターの専門知識やリソースが最大限に活かされ、より専門的で効果的かつ継続的な解決策の実現が可能となる。
4.様々なセクターとの連携の重要性
異なるセクターとの連携は、新しい視点やアイディアの提供だけでなく、リソースの効果的な活用や問題解決のための迅速な進展を可能にする。持続可能な未来を築くためには、企業という単一の資式の判断だけでなく、多様なセクターとの協力が不可欠だ。
5.サステナブルレポートの作成
活動の報告、実際の連携先や参加者の声、アンケートにより収集したサステナブル活動に対する社外の評価をサステナブルレポートとしてまとめる。これにより企業の透明性を高め、社会から取り組みの成果を評価いただける重要な手段となる。
6.マルチステークホルダーダイアログの開催
レポートは作成してHPに掲載して終わりではなく、連携いただいたステークホルダーへの方向とレポートへのヒアリングの機会が必要だ。そのために「マルチステークホルダーダイアログ」を開催し、活動報告と双方向の対話の場を作り、社会や地域の声を集める。
7.次年度の活動とプランの立案
マルチステークホルダーダイアログで得た意見やフィードバックをもとに、次年度の活動やレポート作成のプランを策定する。PDCAサイクルを継続的に回すことで、社会や地域の声を軸とした持続可能なサステナビリティ推進が実現される。
[結論]
サステナビリティの実現において、地域課題の理解と解決には様々なセクターとの連携が不可欠だ。異なるセクターとの連携を通じて生まれるアイディアや共同の解決策は、企業や特定のセクターだけでは得られない付加価値をもたらす。
サステナブルレポートの作成とマルチステークホルダーダイアログの開催は、透明性の向上とともに、社会との連携を強化し、サステナビリティの未来への道を切り開く手段として重要である。
SDGsウェディングケーキモデルにおいて「17パートナーシップ」がイチゴの位置に置かれている理由を、実践を通して実感することができた。これからも連携を重視し、持続可能な未来への貢献を続けていく。