NGO、放射能汚染水の流出阻止で声明

国際環境NGOグリーンピースは、一日に300トンもの放射能汚染水が海へ流出しているとの発表、汚染水対策に国費が投入される政府方針の提示など、東京電力福島第一原発からの放射能汚染水の問題が非常に深刻な事態となっていることを受け、下記の声明を発表しました。

(以下声明)

グリーンピース・ジャパン 気候変動/エネルギー担当 高田久代
「東電福島第一原発からの放射能汚染水は非常に深刻な事態だ。事故当事者である東京電力は、これ以上の汚染水流出阻止に全力を傾け、徹底的に情報を公開すべきだ。政府は汚染水対策に税金を投入する前に、現場の状況をすべて掌握し、原子力産業から利益を得てきた企業に負担を求め、諸外国に支援を要請するなどあらゆる努力を行うべきだ。放射能汚染水の海洋流出は、福島周辺にとどまらず広大な海洋環境を汚染しており、将来の漁業にも大きな影響が心配される。失われた自然環境や、自然とともにあった地域の人々の暮らしや経済を、事故前のように戻すことは難しい。地震・津波・原発事故の帰結に苦しむ被害者に、放射能汚染水によって一層の困難をもたらすことがあってはならない」

グリーンピース・インターナショナル エネルギー担当、放射線防護アドバイザー リアナ・トゥール
「海は地球全体で一つにつながっており、放射能汚染水の海洋流出は日本だけの問題ではない。放射能汚染水を流出させ、海を汚染し続けることは、海の汚染を防ぐためにつくられた国際ルールの精神に反する行為である。その一つであるロンドン条約の対象海域は、湾や入り江などの内水を除く全ての海域であり、現在大量の放射性物質が流出している海域も含まれる。事故から二年半を経た今でも、日本の市民は原子力産業界の失敗のツケを支払い続けている。どの国においても、原子力産業界が福島原発事故のような大災害に対処することは不可能だ。日本政府が全力をあげるべきなのは、電力会社の経営のため国内の原発を再稼働させたり、海外へ原発を無責任に売り込むことではない。汚染水を始めとする福島事故の一刻も早い収束と自国の被害者の速やかな救済である」

以上

また、8月8日に、グリーンピースらNGO10団体は、「東電福島第一原発の汚染水対策をめぐる緊急集会と政府交渉」を共催、グリーンピースは海産物への放射能拡散状況および国際条約について説明、政府への質問を行いました(資源エネルギー庁から1人、原子力規制庁から3人、外務省から3人の出席)。政府交渉の冒頭では、賛同214団体による共同署名活動により、48時間で集められた6404筆の署名を原子力規制庁に提出しました。

福島原発に対する東電の対応から、東電に事故を収拾する能力がないことは明らかですが、更に、今回の政府交渉では、資源エネルギー庁と原子力規制庁のどちらが汚染水問題の責任を負うか定まっていないことが市民の目の前で明らかになるなど、政府の取組も疑問の湧くものでした。また、資源エネルギー庁の汚染水処理対策委員会が非公開で行われていることに対し市民が公開を求め、資源エネルギー庁担当者は今後の運営を検討すると応じました。

お問い合わせ先
国際環境NGO グリーンピース・ジャパン
TEL: 03-5338-9800
URL: http://www.greenpeace.org/japan/ja/

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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