記事のポイント
- 米国ではジェンダードイノベーションを軸に製品開発や政策を見直す動きが相次ぐ
- 巨大IT企業のGAFAMはサービスの開発段階からこの概念を取り入れた
- カリフォルニア州は玩具店に性別を問わないエリアを義務付けた
米国では、「ジェンダードイノベーション(GI)」を取り入れ、製品・サービス開発や政策に反映する動きが相次ぐ。巨大IT企業のGAFAMはサービスの開発段階からこの概念を取り入れ、カリフォルニア州は玩具店に性別を問わないエリアを義務付けた。(ニューヨーク=古市 裕子)

ジェンダードイノベーションとは、科学や技術、政策に関して性差を考慮して研究する取り組みだ。不平等や不公正の是正につながる技術革新であり、社会変革の手法として注目を集める。
これまで見過ごされてきた、格差の解消を目指した潜在市場は、あらゆる消費財やサービス分野にとって、新市場の開拓に直結する。
グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトなどの巨大IT企業は、サービスの企画段階から、ジェンダードイノベーションを重要な概念として取り入れた。
米国版のフェイスブックでは、ユーザーは自身の性別を58種類から選ぶことができる。米グーグルはジェンダーレスな絵文字を50種類以上、作成した。マイクロソフトはジェンダー分析をすべてのサービスに反映させている。
米国では、ジェンダーバイアスの解消を促す商品として、「フェムテック」市場が急拡大している。コロナ禍で、自身の健康を意識してフェムテックを利用する女性が急増した。自身のキャリアステップに合わせて、卵子凍結を決めた女性も増えている。
フェムテックとは、フィメール(女性)とテクノロジーを掛け合わせた造語である。女性に関する健康問題をテクノロジーで解決しようという考え方から開発した製品・サービスを指す。
思春期や月経、妊娠、不妊、産後ケア、更年期など女性のライフステージにおける悩みや健康問題について、アプリやAI技術などで解決に取り組む。
昨今、米国内で大きな社会課題となっているメンタルヘルス領域では、カウンセラーとのマッチングサービス、オンライン相談会、睡眠療法などが話題を集める。
米ロックヘルス社の調査によると、米国のフェムテック関連スタートアップの資金調達額は、2020年には7.7億米ドル(約1150億円)だったが、21年8月には13億ドル(約1948億円)へと急拡大した。
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