オルタナ78号「漁業トピックス」50
回転寿司チェーン「スシロー」を展開するフード&ライフカンパニーズは7月、ウニ畜養事業を展開するウニノミクスグループ(アイルランド)と資本業務提携を締結した。同グループの蓄養(養殖)技術を活用し、「磯焼け」問題を引き起こすウニを寿司ネタとして活用できるようにする。
磯焼けは、増えすぎたウニが海藻類を食べ尽くす現象だ。海中の温室効果ガス吸収源である藻場が消失し、気候変動の悪化につながる。しかし、磯焼けウニは痩せて身入りが少ないため、食材としての使用が困難だった。
そこで、ウニノミクスグループはウニ陸上畜養技術と専用飼料を開発し、磯焼けウニを2ヵ月程度で商品として出荷することを可能にした。このビジネスモデルは2022年、国連の公式推薦を受けた。
フード&ライフカンパニーズは天然に依存していたウニを養殖に切り替えることで、国産天然ウニ漁獲量の減少にも歯止めをかける。さらには、従来は商品価値が付かなかった磯焼けウニを買い取ることで、漁業者の収入源確保に貢献する。
同社は、数年後を目処に蓄養したウニのメニューを店頭で提供できるよう、取り組みを進める。