2050年までのCSR戦略:ネット・ポジティブ――下田屋毅の欧州CSR最前線(41)

■キングフィッシャーのロードマップ

同社が掲げた、2050年までのロードマップは次のようだ。

① 2012-2020:ポジティブな影響を及ぼす。
ネット・ポジティブ・プロジェクトのパイオニアとして、リーダーシップを発揮し、4つの重要な分野に焦点を当て、ネット・ポジティブ企業へ移行する実質的なステップを作る。

② 2021-2035:ネット・ポジティブの転換点
ネット・ポジティブが意思決定や企業活動を後押しし、ノーネットロス(ニュートラル)の状態へとシフトする。技術的・経済的に実現不可能である場合を除いて、4つの分野の新たな取り組みのほとんどでネット・ポジティブの影響を及ぼす。

③ 2036-2050:プラスの影響を及ぼす。ネット・ポジティブ
事業活動において、4つの分野でネット・ポジティブの効果を及ぼし、ビジネス全体でネット・ポジティブの状態を作る方法を生み出していることを期待する。

現時点では、まず2020 年の目標に向かって活動を推進しており、4つの分野で大きく次の目標を掲げている。木材分野では、すべての事業で、木材・紙について持続可能な資源からの原料調達100%とする。

エネルギー分野については、顧客への38TWhのエネルギーの節約。店舗のエネルギー使用を45%削減する。イノベーション分野では、サーキュラー・エコノミーのアプローチに沿って、1000の製品を2020年までにクローズド・ループとする。コミュニティ分野では、4000個のコミュニティ · プロジェクトを達成する。

キングフィッシャーは、サステナビリティに関するロードマップを提示し、その目標に向かって企業がどのように実施していくのかをうまくステークホルダーに伝えることができているよい事例だ。是非参考にしていただきたい。

下田屋毅(しもたや・たけし):
在ロンドンCSRコンサルタント。大手重工業会社に勤務、工場管理部で人事・総務・教育・安全衛生などに携わる。新規環境ビジネス事業の立上げを経験後、渡英。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。欧州と日本のCSRの懸け橋となるべくCSR コンサルティング会社「Sustainavision Ltd.」をロンドンに設立、代表取締役。

shimotaya_takeshi

下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

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