記事のポイント
- 10月末の衆院選で、原発を抱える選挙区の多くで立憲民主党の議員が当選した
- 自民党と対照的に、立憲民主党は「原発に依存しない社会」を掲げていた
- 原発回帰に地元の理解が得られていないことが、衆院選で浮き彫りになった
10月末の衆院選で、原発を抱える選挙区の多くで、立憲民主党の議員が当選した。自民党が原発への回帰を訴えたのに対し、立憲民主党は「原発に依存しない社会」の実現を公約に掲げていた。自民党政権の「GX」政策が掲げる原発回帰に対し、地元の理解が得られていないことが浮き彫りになった。(オルタナ編集部=松田 大輔)
今回の衆院選では、「政治とカネ」や経済政策、少子化対策などが争点にあがった。原子力発電の是非をはじめとするエネルギー政策も、衆院選での大きな争点の一つだった。
投票の結果、原発を抱える選挙区の多くでは、「原発に依存しない社会」の実現を掲げた立憲民主党の議員が当選した。13選挙区のうち、立憲民主党が9議席、自由民主党が3、国民民主党が1だった。
原発15基が集中する福井2区では、立憲民主党の辻英之議員が初当選した。このほか、泊原発がある北海道4区、女川原発がある宮城4区、柏崎刈羽原発がある新潟4区、浜岡原発がある静岡3区、志賀原発がある石川3区、島根原発がある島根1区、玄海原発がある佐賀2区、川内原発がある鹿児島3区でも、立憲民主党の議員が当選した。
特に新潟県では5つの選挙区すべてで立憲民主党の議員が当選した。柏崎刈羽原発の再稼働に関しては、住民投票の実施に向けて署名活動が行われている。今回の衆院選の結果も、再稼働に影響する可能性がある。
自民党議員が当選したのは、東通原発や大間原発がある青森1区と、伊方原発がある愛媛3区、廃炉が決まった福島第一・第二原発がある福島4区のみにとどまった。東海原発がある茨城5区では立憲民主党の候補擁立がなく、国民民主党の浅野哲議員が当選した。
自民党政権が「GX」(グリーン・トランスフォーメーション)政策で掲げる原発回帰に対して、地元の理解が得られていないことが、今回の衆院選で浮き彫りになった。
※原発がある選挙区での衆院選の結果
(立憲民主党は青、自由民主党は黄色、国民民主党は緑で色付け)