女性活躍推進による課題――ダイバーシティの現状(1)[山岡 仁美]

これらの解釈違いは男性だけでなく、多くの女性にも見られます。女性は自分たちが活躍するために必要な環境を堂々と主張すべきともいえます。このような、解釈違いによって個々の潜在能力を見逃さないためにも、男性にも女性にも教育訓練や職場内での動機付けが欠かせません。

しかしながら、女性を活性すること=ダイバーシティではありません。女性の活用はダイバーシティ推進の一部にしか過ぎません。多くの企業では、「女性管理職比率を3割に増やす」「新卒女性の割合を5割にする」「育休取得率○%増」などといった数値目標を設定し、それを達成することだけをダイバーシティ推進活動としていますが、これは本来のダイバーシティ推進の意味を取り違えた考え方です。

ダイバーシティが本来目指すところは「いかに多様性を活かす組織づくり」に取り組むのかであり、例えば単に女性管理職の数を増やしても「企業の発展を図ること」には到底およびません。

企業における真のダイバーシティ活動とは、多様性が生み出す人々の考え方や価値観の違いをいかに経営に活かすかであり、ダイバーシティはすべてのビジネスパーソンに関わりがある課題であることを社内に浸透させる必要があります。

■ 個々を活かす=ダイバーシティの原理原則

ダイバーシティ推進といっても、新規や大きなプロジェクトを進めることばかりではありません。先入観や固定観念など思い込みがある・発想が乏しい・視野が狭いなどの視点を改善するには、日常レベルでできるダイバーシティも存在し、それらはむしろダイバーシティ推進の鍵になってくることです。

例えば、身近な同僚・部下の行動パターンや性格を少し客観視してみましょう。自分のチーム内を見渡してみて、理屈っぽい・楽天的・猪突猛進・コツコツ堅実など、いろいろな特性が見えてくるはずです。こういった個々の行動特性や性格の違いは、うまく活かしさえすれば、チーム独自の強みとなります。そしてそれは、組織にとって発展の源となるのです。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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