オルタナは5月20日、サステナ経営塾22期上期第1回を開いた。第4講には、リコージャパンの新井繁邦・経営企画本部ESGセンターESG推進部部長が「リコージャパンのサステナ社内浸透」と題して講義した。講義の要旨をまとめた。

・リコーグループは、創業当初から社会課題の解決と事業成長の両立を目指してきた。創業者・市村清は1946年に「三愛精神(人を愛し 国を愛し 勤めを愛す)」を提唱し、「世の中の役に立つ事業をすれば、自ずと収益はついてくる」という考えを示した。この理念は現在まで受け継がれているという。
・同社は1970年代に環境活動を開始し、1998年には桜井正光社長(当時)が「環境経営」という考え方を提唱した。現在は「財務目標」と並ぶ経営目標として「ESG目標」を掲げ、「ESGと事業成長の同軸化」を推進している。
・「中期経営戦略’26」では、企業価値向上と「Three Ps(Prosperity、People、Planet) Balance」への貢献に向け、6つのマテリアリティを特定した。同社は、「今から取り組むことで3~10年後の財務に好影響を与える活動」を「将来財務」と位置付ける。
・2023年度には取締役を対象に、ESG目標を組み込んだ業績連動型株式報酬を導入。2024年度には執行役員にも対象を拡大した。さらに、「中期経営戦略’26」では15のESG目標を設定し、ESG目標を含む新たな業績連動報酬体系を導入するなど、役員報酬との連動を強化している。
・リコージャパンはサステナビリティの社内浸透に力を入れている。2016年からサステナビリティレポートの勉強会を全社で実施。この2年間で1万人以上が受講したという。参加者からは「世のためになる会社という視点を大切にしたい」「会社を辞めるのを思い留まった」といった声が寄せられた。
・リコージャパンは2018年に「SDGsキーパーソン制度」を発足した。全国の支社でSDGsに関する知識を持つ人材を育成し、顧客とともにSDGsに貢献することを目指す取り組みであり、現在は約640人のキーパーソンが全国で活動している。さらに2024年7月には「SDGsキーパーソンPro(プロ)制度」を立ち上げ、自社にとどまらず顧客のSDGs・ESG推進支援にも取り組んでいる。全国8カ所に拠点を設置し、29人が活動している。
・こうした社内での取り組みは、SDGs・ESGを軸とした顧客開拓や伴走支援にもつながっている。顧客からは「何から手を付けていいかわからない」「サプライヤーへの働きかけの方法を知りたい」といった声が寄せられており、サステナビリティレポートも営業活動に活用されている。実際に、経営課題解決のパートナーとして取引が拡大した事例もある。
・こうした社内浸透施策の結果、「あなた自身の社会課題解決(SDGs・ESG)への取り組みは、『はたらき甲斐』や誇りにつながっていると思いますか」という設問に対し、91.4%のグループ社員が「思う」「少し思う」と回答した(2026年4月時点)。
・新井部長は、「トップダウンとボトムアップの両輪によるアプローチが不可欠だ」と強調した。トップメッセージや経営陣が積極的に行動する姿勢に加え、SDGsキーパーソン活動のような現場主体の取り組みも重要だという。その上で、「継続すること」の重要性にも言及した。新入社員の入社や社員の入れ替わりがあるため、施策を弱めると数値はすぐに低下してしまうと指摘。「社員一人ひとりが腹落ちするまで続けることが大事だ」とまとめた。


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