オルタナは6月17日、サステナ経営塾22期上期第2回を開いた。第4講には、レゾナック・ホールディングスの松古樹美・執行役員最高サステナビリティ責任者が「レゾナックのサステナビリティ経営と価値創造の描き方」と題して講義した。講義の要旨をまとめた。

・レゾナックは、事業や風土の異なる昭和電工と日立化成が統合して2023年に誕生した。統合を「第二の創業」と位置付け、「やること・やり方・やる人」を見直して、再出発したという。
・「日本発の世界トップクラスの機能性化学メーカー」を目指し、スピード変革に取り組む。過去4年間で事業ポートフォリオを大きく見直し、将来的には機能性材料と半導体・電子材料の比率を半々にし、売上高1兆円超の達成を目指している。
・同社はパーパスとして「化学の力で社会を変える」を掲げ、サステナビリティを経営の根幹に据えた。パーパスを実現するための価値観として4つのバリュー「プロフェッショナルとしての成果へのこだわり」「機敏さと柔軟性」「枠を超えるオープンマインド」「未来への先見性と高い倫理観」を定める。
・加えて、第二創業期の変革を推進するため、同社ではCEO(最高経営責任者)とCHRO(最高人事責任者)が中心となって、全社的なパーパス・バリューの浸透と実践を進めた。従業員との対話を重視し、タウンホールミーティングや「モヤモヤ会議」、「パーパス探求カフェ」などの施策を実施し、従業員エンゲージメントの向上を図っている。
・サステナビリティ推進については、新体制となった2022年に「戦略部門」として本格的に始動。「サステナビリティを経営の根幹に据える」を合言葉に掲げ、それまでの「法令遵守」や「レスポンシブルケア」といった枠組みから、成長戦略の中核へと位置付けを転換した。この4年間で、カーボンニュートラルプロジェクトやサステナビリティと役員報酬の連動といった取り組みも開始した。
・レゾナックは、統合報告書について、「過去から現在までにどのような価値をどのように⽣み出してきたのか」「将来にわたって価値を創造する仕組み(ビジネスモデル)や能力があるのか」を、中長期目線の投資家をはじめとする長くお付き合いしたいと考える大切なステークホルダーに対して、説得力をもって伝え、経営への信頼を醸成し対話を行うための「コミュニケーションツール」と位置付ける。
・では同社にとっての「企業価値」とは何か。松古氏は、「当社が考える企業価値とは、『戦略(ポートフォリオ)』×『個の力』×『企業文化』」と、当社が強みと考える要素の掛け合わせだ。VUCAの時代では、『やりきる人材』が育成されているか、個人やチームの力が十分に発揮される企業文化があるかどうかが、真の差別化要因となる」と説明した。レゾナックでは「自分のキャリアを自分で決める」という方針のもと、サステナビリティ部門の約3分の1が社内公募で集まっているという。
・さらに、「株価が好調であっても、その要因は様々で、サステナビリティの取り組みや長期的な価値創造がどのように考慮されているか客観的に判断できるものではない。そのため、株価という指標に過度に依存するのではなく、自分たちで自社の価値向上に向けて何が必要か、何を評価してほしいのかを考え、『価値創造の仮説』を立てて議論している」と続けた。
・CSuO(最高サステナビリティ責任者)の役割については、サステナビリティ領域を軸に組織横断的な連携を促し、経営戦略と一体化して推進するとともに、企業文化の変革を促進し、社会との接点を担う存在であると整理した。松古氏は、「これまでのキャリアや経験は必ず活かすことができる。そのうえで、『やりたいこと』と『その会社らしさ』を掛け合わせることが重要だ」と呼びかけた。



