■FITに依存しない電源
――政策リスクも含め、安定供給面で不安はないか
FITをめぐっては諸論あるが、私自身は公平な制度だと思っている。太陽光発電は発電コストがかなり下がっており、既存電力と発電コストが同等となる「グリッド・パリティ」は近いのではないか。木質バイオマスにしても、発電効率が高まればFITは不要だ。
自然エネルギーの安定供給で、本質的に重要なのは技術革新ではないだろうか。技術革新が進めば、制度に依拠しなくても自然エネルギー電力は成り立つ。
例えば、自然エネルギーではないが、使用済みプラスチックや古着を油化処理してできた再生燃料は、輸入した石油との価格差は小さくなっている。捨てられているゴミの量は膨大だが、それが再生可能な資源となるわけだ。
夜間電力の活用も大事になる。従来、夜間電力は原発とセットに扱われてきた面があるが、風力などの自然エネルギーも普及が進めば夜間の電気はさらに増える。夜間は電気料金が昼間の半分ほどなので、これらの潤沢にある電気を夜間に蓄電して日中に使えるようになれば、電気代は劇的に下がるはずだ。分散型の蓄電ネットワークができれば実現するだろう。
つまり自然エネルギーの普及でやるべきは、一つはFITにとらわれないエコな電源の開発。そしてFITに依存しなくても成り立つように技術革新を進めて電力単価を下げることと言える。自然エネルギーの価格を下げる努力と普及する努力は同じものだ。