世界の食料廃棄問題に迫る映画「0円キッチン」

■日本は「モッタイナイ」で解決を

「番組当初は告発調だったが敬遠された。そこで楽しさを前面に出す内容に変えたところ、局の姿勢も変わった」。グロス氏は、視聴率を狙う刺激的な演出に依存していては、フードロスをなくしたいとのメッセージが伝わらない、と考えを改めた。「ポジティブに接することで(取材対象が)自分へのガードを緩めてくれる。実はどんな立場の人もフードロスを認識している」(グロス氏)

ダーヴィド・グロス監督=13日、都内で
ダーヴィド・グロス監督=13日、都内で

ザルツブルグでは監督の活動以降、スーパーマーケットで期限切れ食材が半額で売られるようになるなど変化が起きている。またフランスでは昨年、大型量販店で出た廃棄食料を慈善団体に寄付するよう義務付ける「食料廃棄禁止法」が施行された。

監督は日本の「モッタイナイ」文化を評価する。また、日本ではアイドルグループが「0円食材」を探してキッチンカーで全国を旅する番組企画が人気だ。しかしその一方で、年間632万トンもの食料廃棄が生じる世界有数のフードロス大国でもある。

こうした状況にもかかわらず、監督は楽観的だ。「日本は廃棄食料を家畜のエサにするなど、問題にアプローチする技術を持っている。一人ひとりが意識を持てばフードロスを簡単に解決できるのでは」

フードロス=「0円食材」はアイドルグループが探し出すものとは限らない。実は私たちの冷蔵庫にも眠っている。それを捨てるか活かすかは私たち次第。映画にはごちそうにするヒントが詰まっている。東京・渋谷アップリンクで上映、ほか全国順次公開。

映画「0円キッチン」公式サイト

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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